FC町田ゼルビアのサッカーはJ1でも通用するか シンプルな戦い方を高い強度で徹底した黒田剛監督の手腕 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko

【エースの負傷で終盤苦しむも見事にJ1昇格】

 着実にJ1昇格・優勝という目標へ歩みを進める町田だったが、第5タームでは11ポイントと苦しんだ。苦戦の一番の理由はエリキの負傷離脱だ。18得点6アシストのエースが、第31節清水エスパルス戦で全治約8カ月の重傷を負った。

 次節のモンテディオ山形戦では5-0とエース不在を感じさせない大勝を収めたが、次のザスパクサツ群馬戦から3試合連続で無得点となり、勝ち星から遠ざかった。

 そのうち、敗れた第34節の栃木SC戦では、オーストラリア代表のデューク、U-22日本代表のFW平河悠、FW藤尾翔太が代表活動でチームを離れていた。9月5日に加入が発表され、合流して間もないFWアデミウソンを使わざるを得ない状況となり、先発で出場するも前半で交代。コンディションは十分ではなかった。

 第6タームに入っても下位のいわきFCにホームで2-3で敗戦し、続けてヴァンフォーレ甲府にもホームで3-3のドロー。2試合連続で3失点を喫し、強みであるはずの守備にも安定感を欠いた。9月からの1ヶ月で1勝しか挙げられず、勝ち点が思うように伸びなかった。

 そうして迎えた大雨で延期となっていた第26節、アウェーのブラウブリッツ秋田戦。この試合も代表組のデューク、平河、藤尾という前線の3人が不在。秋田には前回対戦のホームで敗れ、昨季のアウェーでも1-2で敗れていた。

 そんな相手に町田は苦しみながらも2-1で3試合ぶりに勝利した。これまでのような圧倒する内容ではなく、なんとか逃げきった試合だった。それでも久しぶりの勝利で町田はJ1昇格へ王手をかけ、その最初のチャンスとなった熊本戦で見事に昇格を勝ち取った。

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