大宮アルディージャ、J3降格の危機 営業利益3位タイなのに選手人件費年々減少はなぜ? (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

【アカデミー育ちの奥抜侃志が移籍後に日本代表へ】

 予算を絞り込んでいくなかで、アカデミー出身選手が増えていった。大学経由で入団するアカデミー出身選手も少なくない。大宮は「育成型」へ転換していった。

 2022年夏には、ユースから昇格5年目の奥抜侃志(おくぬき・かんじ)がポーランド1部のクラブ、グールニク・ザブジェへ期限付き移籍した。今シーズンからドイツ2部のニュルンベルクへ完全移籍した彼は、10月シリーズの日本代表に招集された。アカデミーで育ち、かつ大宮でプロデビューした選手の代表入りは、史上初めてのことだった。

 今夏の移籍市場では、昇格3年目のMF柴山昌也がJ1のセレッソ大阪へ完全移籍した。年代別代表の経験を持つ左利きのドリブラーは、チームの中心として機能していた。

 育成型へ進んでいる以上、若い才能がステップアップしていくことは避けられない。それが悪いことでもない。今シーズンは高校3年生のDF市原吏音が7月にトップチームデビューを飾り、そこから13試合連続で先発フル出場を続けている。

 アカデミーが一定の成果をあげているため、育成型クラブとしては評価されるのだろう。だが、アカデミー出身選手や主力選手を引き抜かれることでチーム力が低下し、カテゴリーを下げてしまうのは、クラブが目指すべき方向性ではないはずだ。

 2022年春にフロント入りした原博実フットボール本部長は、J1在籍時は残留のために、J2降格後は昇格のために繰り返されたシーズン途中の補強に否定的だった。2021年、2022年はシーズン途中で監督が交代していることも含め、目前の結果を目指しつつも中長期的な視点でクラブを立て直そうとした。

 しかし、今年もまたJ3降格圏であえぎ、シーズン中の監督交代劇が繰り返された。夏の移籍市場では、CBカイケ、DF飯田貴敬、MF黒川淳史を期限付き移籍で、FWシュヴィルツォクを完全移籍で獲得した。

 J2にとどまるための緊急補強は、やむを得ないところがある。カテゴリーが下がることで失うものは、間違いなくあるからだ。そうだとしても、急場しのぎの補強でJ2残留を果たすことが、クラブとしての積み上げになるのだろうか。

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