Jリーグでチームに重要な勝利に貢献した11人 9月3勝のクラブを中心に独自選考 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko

【開幕から29試合フル出場のMF】

 ダブルボランチは福岡の前寛之と井手口陽介のコンビとも悩んだが、広島の満田誠と神戸の山口蛍を選出。

 広島が不調を抜け出したのと満田の復帰のタイミングがピタリと重なるのは、それだけではないにしてもこの男の影響力が絶大なことも事実だろう。第25節あたりからボランチでプレーすると、縦への鋭いパスと持ち前の前線を追い越すダイナミズムで広島の攻撃を力強く前進させた。

 強度の高い守備でも貢献し、このポジションでもハイクオリティな選手であると示し、加藤とマルコス・ジュニオールの2シャドーの選択肢を自然な形で成立させた。

 山口のクオリティは今さら言及するまでもないが、前線のハイプレスの背後で広範囲にボールを刈り取り続ける高強度の守備は傑出していた。とくに第28節、29節と2試合連続で無失点に抑えたゲームでは、山口の中盤での潰しが効いていた。

 潰し役でありながらここまでリーグ全試合フル出場は、タフであると同時に、カードをもらわないディフェンス技術も卓越していることの証明だ。

 DFはセンターバックで、神戸の山川哲史、広島の塩谷司、福岡の奈良竜樹、柏の犬飼智也ら、候補に値する選手が多かった。そのなかでサイドバックの枠をひとつ潰して神戸の本多勇喜、広島の佐々木翔、福岡のドウグラス・グローリの3人を選んだ。

 前述しているとおり、神戸は守備の強度を取り戻し、本多の対人守備の強さ、粘り強さは際立っていた。攻撃においても大迫へのロングフィード、両サイドへの鋭い展開など、高いフィード能力で起点にもなった。

 広島の佐々木の対人守備も称賛に値する。相手が狙ってくるサイドへの展開や抜け出しを、出足の鋭さと1対1の強さでことごとく潰し、ロングボールに対しても力強く跳ね返した。

 福岡の奈良、宮大樹らと形成する強固な3バックのなかでもドウグラス・グローリの守備は強力だった。FC東京のディエゴ・オリベイラ、名古屋グランパスの永井謙佑、柏のマテウス・サヴィオなど、対人守備の強さで相手のエース級に仕事をさせなかった。

 サイドバックには広島の志知孝明、中野就斗、柏の片山瑛一らも候補には入るが、神戸の酒井高徳を選出した。右サイドでの攻守における機動力、対人守備の強さで安定感をもたらした。なかでも天王山となった横浜FM戦でのエウベルとのマッチアップはハイライトだった。

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