審判目線のJリーグトップ10プレーヤー「レフェリー泣かせ」の選手を村上伸次が明かす (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【レフェリー泣かせのスピード】

7位 岡野雅行(元浦和レッズ、ヴィッセル神戸、ガイナーレ鳥取ほか)

 彼はみなさんもご存知のとおり、とにかく尋常じゃないスピードで、これはレフェリー泣かせでしたね(笑)。私も現役の頃は100mを11秒前半で走ったんですけど、彼の場合はドリブルに入った瞬間にフルスプリントをかけておかないと、もう離されてしまうんですよ。

 現役の最後のほうは切り札として後半途中から出てきて、それはレフェリーも疲れている時間帯だったりするので「うわぁ、来たな」と(笑)。それで、そこからギアをひとつ、ふたつ入れ直すわけです。だから試合の流れを変える、キーとなる選手という印象が強かったですね。

 阿部勇樹さんの引退試合で私は後半から笛を吹かせてもらったんですけど、その時に彼がベンチの前を走って会場を盛り上げていて面白かったですね。スプリントひとつで会場を沸かせられる数少ない選手でした。

6位 永井謙佑(現名古屋グランパス)

 彼も岡野さんと同じようにレフェリー泣かせな選手でした(笑)。とにかく驚異的なスピードで、彼がいるだけで私は気にしてしまうし、それ以上に副審が大変ですよ。

 彼がいる時はよく副審に「今日は頑張れよ」と声をかけていました(笑)。副審もちゃんとトレーニングをしていて、足の速い人もいるんですけど、さすがに彼のスピードには追いつけないと言いますね。

 彼がいるとカウンターでそのスピードを活かすというのはわかっているので、相手がポゼッションでボールを持っている時は、必ず後ろを見て常に彼がどこにいるかを確認しながらカウンターに備えていました。

 レフェリーも試合の走行距離とかスプリント回数、時速とかを計測する機会があるのですが、彼のように足の速い選手がいる試合では最高時速が30km以上出ていたり、カウンターが多いと走行距離も1試合で13、14kmくらい走りますね。だから彼が出る試合では「今日はよく走ったなあ」となります(笑)。

5位 カレカ(元柏レイソルほか)

 カレカも私がJFLの西濃運輸時代に対戦したことがあって、選手目線で印象的だったプレーヤーです。

 とにかくフィジカルが強靭でした。"柔"と"剛"で言えば、完全に剛というタイプ。私はDFだったので、彼を止めようと当たりに行くんですが、簡単にはじき返されてしまう。ヘディングの競り合いで、私が先に飛んでいるのに負けてしまいました。

 ひとりでは止められないので、ふたりで前後に挟んでマークしても、そこにパスを通されてすごいシュートを決められてしまいました。セレソン(ブラジル代表)はこんなにもすごいのか、ちょっと次元が違うなと驚きましたね。選手時代、レフェリー時代に柏サポーターからブーイングをいただいたことはいい思い出です。

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