中村憲剛&佐藤寿人が日本代表を目指す若手に提言「U-20W杯で優勝することがゴールじゃない。ここからがスタート」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 みんなが望むこと(=優勝)はとても大切だし、目線が上がったからこそ育成年代の総合的なレベルが上がり、裾野は広がって来ているとは思っています。逆に過去を振り返った時に、20歳前後に世界的にずば抜けたタレントはいたのかなと。

寿人 どこをゴールにするか、じゃないですかね。U-20ワールドカップで優勝することはゴールではないじゃないですか。いかに上に行けるか、どうか。

 ひとりでも多くA代表まで行って、ひとりでも多く世界で活躍する選手が出てくるか。ここからどう伸びていくのかは人それぞれなので、たしかに現状では判断できないですよね。

憲剛 U-20代表から、A代表まで上がっていける選手は、半分にも満たないですからね。U-17でも監督のゴリさん(森山佳郎)が選手たちに最初に言うのは、ここがゴールじゃなくて、ここからがスタートだということ。

 こんなにいい環境でやれるんだから、それを経験していない子たちに抜かれるのはあり得ないよね......とハッパをかけるんだけど、実際にU-17代表からA代表にまで行ける子は数人、という現実がある。

寿人 僕はU-17、U-20と経験しましたけど、オリンピック代表には入れませんでした。

憲剛 でも、A代表には入ったわけだから、エリートだよ。入れなくて沈むのか、入れなかったことを糧(かて)にそこから再び伸びていくのか──。寿人は後者だから、すばらしいよ。

寿人 育成のところに関して言うと、指導者の問題もあったと思うんですよ。もしかしたらU-17の年代でいい選手を引き上げ切れていないところもあるんじゃないかって。

憲剛 それ、大変なのよ。スタッフの皆さんが手分けして見るんだけど、すべての選手を見るのは当然不可能だから、本当に大変だと思う。

寿人 僕の当時の話をさせてもらうと、U-16のアジア予選の登録FWは、僕と飯尾(一慶/ヴェルディ川崎ユース)だったんですけど、のちにプロになってA代表にも入った(大久保)嘉人とか(田中)達也(帝京高)は一回も招集されていない。当時から彼らは力があったはずなのに、目に留まるチャンスがなかったんですよね。

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