中村憲剛と佐藤寿人が考えた若手育成の具体策とは?「リザーブリーグを作りましょう!特任理事の力でぜひ!」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 でも、そこに選ばれている選手たちが、もっと生き残っていかないといけない。その割合が少なすぎると「その強化は本当に正しいのか?」となる。そこは選手もそうだし、指導者も責任持ってやっていかないといけないんじゃないかなと思います。

憲剛 そうだね。そう思う。だから声を大にして「必要です!」と言いたい。

── 議論が白熱してきましたが、最終的にJリーグの若手が伸びていくためには、何が一番、重要だと思いますか。

寿人 やっぱり、実戦の場をどう作るかですよ。

憲剛 話が戻ってきた。でも、そこですよね。

寿人 U-23チームのJ3参戦もそうですけど、Jリーグ・アンダー22選抜というのも昔はありましたよね。当時、チームメイトだった野津田岳人も行っていたり、マリノスの喜田拓也もいて。彼のことは当時あまり知らなかったですけど、今は優勝チームのキャプテンですからね。その意味では、Jリーグ選抜は一定の成果はあったのかなと。

憲剛 ヨーロッパだとリザーブリーグがあるし、レンタル先も国内外にあるから実戦経験を積ませやすい。日本の場合は環境的に、なかなか難しいところはありますよ。

寿人 リザーブリーグを作りましょうよ。

憲剛 たしかに必要だと思います。ただ60クラブもできたので、日程・開催場所を含め、どこにハメ込むのか。

寿人 地域別にやるとか。でも、そこにはお金が必要で、そのお金をどう作るか。優先順位は低いでしょうし。

憲剛 各クラブの強化担当も悩ましいと思いますよ。若い子の出番がないなとなったら、現状、結局はレンタルが主だった選択肢になる。

 J2やJ3のクラブに行かせて、成長すれば戻すし、できなければ(チームに戻すのは)難しい。そういう形にはなっているけど、リザーブリーグのようなものが毎週行なわれるようになればいいと思いますね。大学ともうまく連携しながら。

寿人 特任理事の力で、ぜひ。

憲剛 そこまでの力はないけど(笑)若い選手たちのためにも、声は上げていきたいと思います!

(第17回につづく)


【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

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