大混戦のJリーグ優勝争い 頂点を狙う7チームの強みと課題を水沼貴史が解説 (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【暑い8~9月をどう乗りきるかも大切】

 川崎はこれまでのシーズンを考えると、これほど苦戦するとは思わなかった人も多いだろう。ケガ人も多く、試合に出る選手の入れ替わりが多いので、我慢の年になっている。ただ、力のある選手は揃っているので、あとはどう爆発するかだけだと思う。その勢いをどう作り出すか。

 谷口彰悟の移籍から始まり、今年はとにかく変化が多かった。そのなかで鬼木達監督も試行錯誤をしながらここまでやってきている。山田新や宮代大聖、高井幸大など、若い選手たちは奮闘していると思う。そういった選手たちが後々に「このシーズンがあったから」と言えるような年にできるか。

 それだけではなく、終盤にその経験を勢いに変えられるか。なにが起爆剤になるかはわからないが、離脱している選手が戻ってスカッドが揃った時に、本来の調子を取り戻したいところだろう。

 本命がないとは最初に述べたが、混戦だから面白いと捉えることもできるし、抜け出す要素がどこにもなかなか見出せないという捉え方もできる。いずれにしても8月から9月いっぱいまでの暑い時期をどう乗りきり、10月の中断明けのラスト5節をどれだけいいポジションで迎えられるかだ。

 9月後半からは横浜FMと川崎、プレーオフを勝ち上がれば浦和もACLが始まり、疲労や場合によってはケガ人が出ることもある。また、第22節で神戸が横浜FCに負けたように、なにが起こるか予測不可能なのがJリーグの魅力でもある。ここからの真夏の熱戦がどう繰り広げられるのか注目したい。

水沼貴史 
みずぬま・たかし/1960年5月28日生まれ。埼玉県出身。浦和南高校、法政大学で全国優勝を経験。JSL日産自動車でも数々のタイトルを獲得し、チームの黄金時代を築いた。日本代表では国際Aマッチ32試合出場7ゴール。Jリーグスタート時は横浜マリノスで3シーズンプレー。引退後は、横浜F・マリノスのコーチや監督を務めた。現在は解説者として活躍中。

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