ボランチ香川真司の「プレー全部がスゴい」 仲間による証言とチームに与えている好影響 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 そこで、今季リーグ戦で香川とコンビを組んだことのある選手たちに意見を求めた。彼らの目に"ボランチ香川真司"はどう映っているのか、と。

「ボールを取られないし、前へのチョイスの仕方、選択肢のなかからプレーを選ぶタイミングが一流だなと思う」

 そう語るのは、MF鈴木徳真である。

「リーダーシップもあるし、それ以外にも戦術の理解度だったり、試合の流れを読む力というのはスゴい」

 そんな鈴木の言葉どおり、直近のJ1第21節、浦和レッズとの試合(2-0で勝利)では、攻め急ぎたくなるような局面でも意図的に横パスを増やすなど、暑さも考慮に入れた巧みなゲームコントロールに才を見せていた。

 もともとの香川のイメージと言えば、「代表でプレーしている真司さん」だと話す26歳のボランチは、頼もしい"相方"について「FWやサイドハーフと違って(トップ下として)真ん中でやっていたから、その(ボランチとしてプレーする)感覚があるのではないか」と語り、かつてヨーロッパで名を馳せたアタッカーのボランチ起用にも驚きはないという。

 また、「(プレーの)全部がスゴい。時間帯によって、どのプレーを選択するのかとか、学べるところは多い」と、香川に対する全幅の信頼を口にするのは、MF喜田陽である。

「横でやっているからこそ、学べることがある」とも語る23歳のボランチは、「経験値はぜんぜん真司さんのほうが上だけど、お互いを見ながらプレーできている」と、うれしそうに手応えを口にする。

「柔軟にそのポジションでやるべきことを整理しながら、役割を果たしている。柔軟にどのポジションでもできるところが、トップレベルの人だなと思う」

 そう話す喜田もまた、香川のボランチ起用に意外な印象は「最初からなかった」と話すひとりだった。

 ボランチ起用が意外であるか否かはともかく、いずれにせよ重要なのは、香川がヨーロッパ時代とは異なるポジションで彼の持つポテンシャルを発揮し、一緒にプレーする若い選手たちにも好影響を与えているということ。そして、それはチーム全体のレベルアップにもつながっているということだ。

 現在ゲームキャプテンを務める香川は、自らがボールに触れ、直接的にプレーに関わるだけでなく、周囲の選手に身振りもまじえた細かな指示を与えることによっても、チームを動かすことができている。

 13シーズンぶりに桜色のユニフォームに袖を通した34歳が、これからどんなボランチ像を確立しいていくのか。今後を楽しみにしたい。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る