降格枠「1」のJ1残留争い 福田正博が下位3チーム・湘南、横浜FC、柏の巻き返しポイントを指摘 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【監督交代後も苦しんでいる柏】

 湘南戦で得た勝ち点1によって17位から16位に浮上した柏は、上がり目で言えば湘南よりも苦しい状況だろう。なぜなら「監督交代」という劇薬を湘南は残しているのに対し、柏はすでに監督交代を行なっているからだ。

 柏は今季開幕前に主力選手が軒並み移籍して低迷、5月17日にネルシーニョ前監督が退任した。低迷の責任は監督にだけあるわけではない。ただ、チームを立て直すために信頼してきたネルシーニョ前監督を切らざるを得なかったのだろう。そして、それまでヘッドコーチをつとめていた井原正巳監督を昇格させた。

 井原監督の就任初戦となった5月20日のヴィッセル神戸戦は、先制点を奪われながらも相手のオウンゴールによって同点で引き分け。この結果を見た時、「井原監督には運がある」と思ったが、その後につながらなかった。翌節の川崎フロンターレ戦を0-2で落としたが、痛かったのはその次の北海道コンサドーレ札幌戦だった。

 札幌が先制し、柏が追いついた矢先、ふたたび札幌に勝ち越され、さらに追加点を奪われて1-3。それまでなら、そのまま敗れていたであろう展開だったが、この試合では2点差をふたたび追いついた。

 ところが、そこから相手にまたリードを許し、試合終盤の後半45+1分に劇的な同点弾を決めたが、その2分後の試合終了間際に勝ち越し弾を許してしまった。

 波に乗れないチームらしいと言ってしまえばそれまでだが、監督交代後リーグ戦3試合目となった札幌戦での撃ち合いに勝利をおさめていたら、もしかするといまごろはもう少し上にいたかもしれない。

 ただ、いまだリーグ戦での勝利がない井原監督ではあるものの、湘南戦では手応えをつかんだと思うし、そうであってほしいと願っている。現役時代はしのぎを削り、日本代表では共に戦った井原監督だけに、なんとか来季もJ1で采配をふるう姿を見せてもらいたいし、そうなるようにクラブには戦力補強も含めて動いてほしいと思う。

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