ガンバ大阪・山本理仁「簡単に試合に出られる、活躍できるとは思っていない」それでも海外移籍を決意したわけ (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

「ガンバでのこの一年、自分にとってはプロになって初めてJ1リーグの舞台を戦ってきたなかで、そこまでたくさんの試合には出場できなかったですけど、J2とJ1ではプレースピードは全然違ったし、そういうものをふだんの練習から感じ取れたのは自分にとってすごく大きかったです。

 実際この一年、代表でプレーする際に、以前にはなかったいい意味での余裕を感じながらプレーできるようになったのも、ガンバで積み上げられた自信があってこそ。また、日本のトップリーグでのサッカーのテンポ、速さというのは他の国にはないものだと考えても、Jリーグで磨けることももちろんあったと思います。

 ただ一方で、代表などで国際試合を戦った際に感じたパワフルさだとか、コンタクトプレーの強さ、外国籍選手特有の個々の特徴は、海外に出なければ感じられないものだと思うので。それを毎日、体感できるチャンスがあるのなら、それをつかみたいと思いました」

 6月上旬に選出されたU-22日本代表の欧州遠征メンバーには、すでに海外でプレーしている選手も含まれていたが、そうした同世代から受ける刺激にも背中を押されたそうだ。加えて、10代の頃からアンダー世代の代表に名を連ねてきたなかで、その活動を通して感じていたという「世界ではペドリやガビ(ともにバルセロナ)らが当たり前のように10代の頃から活躍している。自分も置いていかれたくない」という思いも決断につながった。

「僕は鈴木唯人(ストラスブール)とも仲がいいし、代表に行けば、自然と海外のいろんな話が聞こえてきます。そのなかで、チームメイトに元フランス代表がいるとか、Jリーグにはいないタイプの選手と対峙しているみたいな話を聞いて、やっぱり(海外に)行かなくちゃ感じられないこと、見えないものはあるんじゃないかというのは素直に感じていたし、それは自分の海外への想いを募らせるものでした。

 その一方で、甘くはないことも覚悟しているので。簡単に試合に出られる、活躍できるとは思っていないですが、性格的に適応力みたいなものはあると思っているので。しっかり環境に馴染みながら自分を示していきたいし、今回の海外へのチャレンジは自分にとって、あくまで"始まり"だと考えているからこそ、いろんなものをつかみ取れる一年にしたいと思っています」

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