Jリーグ6月のベスト11を独自選考「誰にも負けないインパクト」を見せた選手たち (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【存在感を放つ活躍ぶり】

 首位を走っていた神戸を撃破するなど、2勝1敗だったセレッソ大阪は、香川真司がチームにアクセントを加えていた。北海道コンサドーレ札幌戦では、相手の攻撃力に苦戦も、香川が随所でタメを作って、押しきらせなかった。GKとの1対1で浮かせたシュートは、世界の舞台で戦ってきた男の妙技だったと言えるだろう。

 同じく2勝1敗の名古屋グランパスは、マテウス・カストロが調子を上げてきた。5月末から3試合連続ゴール。キックの精度はJリーグ最高レベルで、強力な武器になっている。C大阪戦では、3点すべてに絡んでいた。2点目のアシストはCKでニアに魔球のようなボールを送り、3点目の爆走ドリブルシュートも圧巻だった。新加入のキャスパー・ユンカーの得点を引き出すなど、堅守カウンターの戦術を完結させていた。

 一方、チームは不調で監督交代もあったFC東京だが、ディエゴ・オリヴェイラは一人で戦術になる存在感があった。前線でボールを受けるタイミングが絶妙で、相手の動き次第でプレーキャンセルし、最善の選択に切り替えられる。その老練さは出色。直近の名古屋戦、反転からのシュートは鮮やかだったし、駆け引きからマークを外し、背後を取ってヘディングも決めた。

 6月のJリーグは、やや変則的だった。そのなかで、目立ったのは鳥栖だろう。チームの仕組みのなかで選手が台頭し、本物の"強さの高まり"が見られる。夏場は復帰したストライカー、富樫敬真に注目だ。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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