Jリーグ6月のベスト11を独自選考「誰にも負けないインパクト」を見せた選手たち (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【G大阪が3連勝。鳥栖はベストチーム賞】

 もう一つ、3連勝を飾ったのがガンバ大阪である。そもそも戦力的に、降格圏で喘ぐようなチームではない。ダワン、イッサム・ジェバリは確実にフィットしつつあるが......。

 特筆すべきは、右サイドバックの半田陸だろう。抜群のセンスの持ち主。FC東京戦でのゴールは、その躍動感が出ていた。ほぼ五分五分になったボールに対し、長いストライドで追いつき、食いついてきた相手と入れ替わって前に出ると、カウンターを発動。そのままダイナミックに攻め上がって、味方が落としたボールをネットに沈めた。

 左サイドバックの次点は黒川圭介か。鹿島戦、左サイドからカットインし、右足シュートでゴール。ダワンに合わせたクロスのアシストも技術の高さを見せた。サッカーの「道筋」としては評判が悪くなかったダニエル・ポヤトス監督のサッカーに、プラスアルファを与えたと言える。

 そして「月間ベストチーム賞」があるなら、2勝1分けと上昇気流に乗ったサガン鳥栖に贈るべきだろう。川井健太監督が与えた「仕組み」が浸透し、各選手が勇躍。朴一圭、小野裕二、河原創、ファン・ソッコと最多4人を選出したが、手塚康平、堀米勇輝、長沼洋一、山﨑浩介なども有力候補だった。

「楽しくてしょうがない。まだまだできます」

 選手たちは口々に言うが、そこまでポジティブなチームはほかにあるか。

 朴は鳥栖のプレー構造のキーマンで、前半戦のベストGKと言える。リベロプレーでボールプレーの土台を作りつつ、激しく味方を叱咤し、士気を高めている。一方でゴールキーピング技術も神がかりで、湘南ベルマーレ戦は6-0で勝利も6-6になってもおかしくないほどのピンチを悉(ことごと)く守った。

 小野は朴と対になる前線の戦術軸になっている。生粋のセンターフォワードではなくゼロトップに近い。下がって受け、流れてスペースを作る。連係面に優れた能力を生かし、ボールを呼び込んで「触ればゴール」というほどの感覚を得ている。その証拠に、湘南戦はハットトリックを達成。何をすべきか整理されたことで天性のセンスが覚醒し、大袈裟に言えば川崎時代の大久保嘉人に近い状態だ。

 河原は序盤戦こそやや空回りしていたが、今や風格すら漂う。初のJ1挑戦であることを考えたら、「新人王」にも等しい。とにかくインテリジェンスを感じさせ、ポジションの取り方一つで味方を生かし、パスのタイミング、コースは白眉。「チーム全体を動かし、勝利する」というボランチの本分を心得る。誰とでも組める選手だが、6月は左利きの手塚とのコンビが際立った。

 ソッコは開幕直前の怪我で長期離脱から復帰となったが、すぐに存在感を発揮している。元々は強さを売りにしたクラシックなセンターバックだったが、川井監督のチームでつなぎやポジショニングなど、技術、戦術を洗練させて急成長。7月以降はコンディションも上がり、さらに質の高いプレーを見せるはずだ。

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