川崎フロンターレは監督交代のタイミングか 勝ちきれない理由ははっきりしている (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

【全盛時より得点が半減】

 少なくとも大島が出場している間は川崎ペースで推移した。その間、両軍に得点は1点ずつ入った。後半8分、川崎GK上福元直人が飛び出した隙に、関根貴大がロングシュートを蹴り込み浦和が先制すれば、その5分後、今度は浦和GK西川周作のミスで川崎が同点に追いつくという展開だった。

 川崎は大島が出場している間に勝ち越し点を奪っておきたかった。大島に代わってピッチに入った小塚和季が、出場するや即、レッドカードを出され、10人での戦いになったからだ。この瞬間、川崎に勝ち目はなくなった。

 ゲームを完全コントロールした割には、決定的なチャンスは少なかった。得点パターンをうまく作ることができなかった。1トップとして出場した宮代大聖はよく頑張ったが、レアンドロ・ダミアンや小林悠とは異なり、根っからの点取り屋とは言い難い。彼らが不在のなか、代役として健闘しているが、力不足は否めないのである。1トップという「頭」がビシッと決まらないので、チャンスが膨らんでいかないのだ。

 2020年=2.6点、2021年=2.1点、2022年=1.9点とは、川崎の過去3シーズンのリーグ戦の1試合平均得点だが、今季はわずか1.2点(17試合で21点)に留まっている。鬼木監督は2020年当時、1試合3点を目標に掲げていた。3点目が奪えないと、勝利しても不満げな表情を浮かべたものだ。わずかの間に状況は一変した。当時から平均得点はまさに半減した状態にある。

 川崎は弱点がはっきりしているというのに、なぜそれらしき選手を獲得しないのか。大島がコンディションを上げ、フル出場を果たしてもせいぜい5位止まりだろう。この日、広島に勝利した横浜FMは勝ち点を39に伸ばしたため、川崎との勝ち点差は14に広がった。

 鬼木監督がいみじくも自ら述べたように、優勝のためには勝ち点3が欲しい試合だったにもかかわらず、勝ち点1に終わった。補強もままならないなか、このまま監督の座に留まっても、キャリアに傷をつけることになりやしないかと心配になる。他国のリーグのスタンダードに従えば、監督交代のタイミングである。

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