熱戦 J2!「昇格の必須要素」と「熾烈な残留争いのポイント」を読み解く (4ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

【J2で活躍して来季J1クラブへ】

 チームから個人へ目を移すと、得点ランキング首位タイに昇格組の藤枝MYFCの選手が食い込んでいる。26歳のFW渡邉りょうだ。

 2019年にJ3のアスルクラロ沼津でキャリアをスタートさせた彼は、昨シーズン途中に当時J3だった藤枝へ移籍した。今シーズンはここまで11ゴールを記録し、モンテディオ山形のチアゴ・アウベスと並ぶ。J2初挑戦の藤枝が13位で折り返したのは、チーム総得点の3分の1強をあげた渡邉の存在があるからだ。

 3-4-2-1のシステムで、1トップを定位置とする。得点のバリエーションは多彩で、ゴールエリア内からワンタッチで仕留めることも、ペナルティエリア外から決めきることもできる。

 DFラインの背後へ抜け出す動きを得意とし、守備陣の視野から逃れて最適なポジションを取るのが特徴だ。右サイドからのクロスを右足ボレーで決めた20節の大宮戦の得点が、彼らしさを表すものとしてわかりやすい。

 渡邉がこのまま得点を量産していけば、J2上位やJ1のクラブが補強候補としてリストアップするに違いない。

 その渡邉とホットラインを形成しているのが、右アウトサイドの久保藤次郎だ。昨シーズンのJ3で10得点6アシストを記録した大卒3年目の24歳で、ここまでリーグトップの7アシストをマーク。ドリブルで持ち出すことも、背後へ抜け出すこともできる彼は、右サイドのプレーヤーとしてJ2でトップクラスにランクされる。

 得点ランキング上位の選手では、ジェフ千葉の小森飛絢もステップアップを予感させる。新潟医療福祉大学から加入のプロ1年目で、178センチ、73キロの身体ははっきりとした力強さを感じさない。それでも、DFと競り合いながらシュートへ持ち込むたくましさがある。

 DFの背後へ抜け出す、クロスをヘディングで合わせる、ゴール前で素早く反転するといったように、バリエーション豊富に得点を重ねている。ここまで15試合出場で、チームトップにしてランキング8位タイの7ゴールを記録している。総得点が19で17位に沈むチームに、不可欠な存在と言っていい。

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