熱戦 J2!「昇格の必須要素」と「熾烈な残留争いのポイント」を読み解く (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

【J3降格に一番近いチームは?】

 磐田は前日本代表コーチの横内昭展監督のもとでスタートしたが、開幕直後に杉本健勇が移籍(→横浜F・マリノス)し、FWの軸を失ってしまった。大津祐樹も4月下旬から長期離脱中で、18歳の後藤啓介が抜擢に応えた試合もあったが、前半戦はアタッカー陣のやり繰りに苦慮した。

 それでも、ゴールデンウィーク明けからは勝ち点獲得のペースを上げている。経験豊富な山田大記や遠藤保仁らがコンスタントにピッチに立てば、J2で簡単に負けるチームではない。後藤、ジャーメイン良、ドゥドゥ、松本昌也らのなかから、ふたケタ得点を記録する選手が出てくれば、チームの順位がさらに上がっていくはずだ。

 順位表のボトムハーフに目を移すと、大宮アルディージャが最下位に甘んじている。4月9日の9節から前半戦最後の6月17日の21節まで、13試合連続で勝利から遠ざかっているのだ。

 2020年にJ2ワーストの15位に終わったのは、長い低迷の始まりに過ぎなかった。翌2021年は16位、2022年は19位と、じわじわと順位を後退させている。

 2021年、2022年とシーズン途中で監督交代に追い込まれ、今シーズンも5月17日の16節終了後に相馬直樹監督を解任し、原崎政人ヘッドコーチが昇格している。中長期的な視点に立ったチームの強化ができていないのが、近年の低迷の根本的な要因だ。

 技術レベルの高い選手は揃っているが、高強度のプレーの連続性に欠ける。個人で違いを見せられる外国籍選手もいない。チームの戦力を見ても、最下位に低迷していることが驚きではないのが現状だ。

 クラブは公式サイト上で「補強を積極的に行ない、プレーオフ圏内(6位以内)へ向けてチャレンジする」としている。しかし、J2の下位が定着している現在の大宮は、対戦相手にとって「勝ち点3を掴み取る対象」だ。相手を上回る勢いで試合に入り、主導権を握るのは簡単ではない。

 J2の下位2チームはJ3降格となる。残留圏ギリギリの20位の栃木SCとは、前半戦終了時点で勝ち点「7」差をつけられている。8節を最後に遠ざかる勝利をいち早く掴み、負の流れを断ち切ることが、今の大宮には求められている。

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