熱戦 J2!「昇格の必須要素」と「熾烈な残留争いのポイント」を読み解く (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

【東京Vの心配は若手の移籍】

 首位の町田を追いかけるのは、勝ち点40で2位の大分トリニータ、勝ち点37で3位の東京ヴェルディらだ。Jリーグ黎明期を牽引した東京Vが、J1自動昇格圏内の2位を追撃している。

 東京Vも首位の町田と同様に、堅守を強みとしている。前半戦の失点は「14」で、クリーンシートは町田を上回る「11」を数える。

 上位進出の足がかりは、昨シーズン終盤に築かれていた。シーズン途中に就任した城福浩監督が強度の高い守備を植えつけ、6戦負けなしの5連勝でフィニッシュしたのだ。しかも、5連勝すべて無失点だった。得失点差をプラスに持っていったのは、ミゲル・アンヘル・ロティーナが指揮した2018年以来である。

 経験豊富なMF梶川諒太が長期離脱を強いられているなど、主力にケガ人が絶えないなかで、チームとしてのクオリティを保っている。J1、J2の複数クラブで采配をふるってきた指揮官のもとで、しぶとく勝ち点を掴むことができている。

 好調なチームの選手は、補強を必要とするチームのターゲットになりがちだ。そもそも近年の東京Vは、シーズンオフだけでなく夏の移籍市場でも有望な選手を引き抜かれてきた。保有戦力を維持できるかどうかは、後半戦を戦い抜くポイントのひとつになる。

 ジュビロ磐田と清水エスパルスの静岡勢は、ルヴァンカップに出場しているため消化試合数がひとつ少ない。現時点で磐田が6位、清水が7位だ。未消化分の試合で勝ち点3をプラスしたとしても、自動昇格圏の2位以内に届かない。

 清水は開幕から7試合勝利なしと出遅れ、ブラジル人のゼ・リカルド監督を解任した。コーチから昇格した秋葉忠宏新監督は、「超アグレッシブ」と「超攻撃的」をキーワードに掲げ、元日本代表MF乾貴士をトップ下に据えて攻撃力を解放していった。

 新体制ではリーグ戦8試合負けなしと勝ち点を加算していったが、16節に秋葉体制で初黒星を喫してからはペースダウンを余儀なくされた。J1で通用するクオリティを持った選手が揃っているだけに、清水は相手を圧倒して勝利するとの気持ちが強い。接戦をモノにしていく町田とは対照的だ。

 しかし、20節の熊本戦で今シーズン初の「ウノゼロ(1-0)」で勝利した。勝ち点3をしぶとく掴んでいく姿勢が身につけば、順位を上げていくことは可能だろう。

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