宮市亮「プロ選手を続けてよかった」 10カ月ぶりの復活で、愛されていることが伝わってきたシーンがあった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo news

【その不屈さがチームに強さをもたらす】

 しかし、宮市は華麗に復活を遂げた。

 後半33分、ヤン・マテウスと交代で入ると、左サイドでマルコス・ジュニオールから再三再四、パスを受ける。積極的に仕掛け、際どいクロスを送り、相手を苦しめた。持ち味の加速力で縦に持ち出すと、たまらず足を投げ出した相手DFは足をつって、交代を余儀なくされている。不死鳥のようなプレーに、スタンドから喝采が送られた。

「リードした展開で、スペースに入っていくプレーが求められていました。縦に仕掛け、スピードを持ってプレーすることができて、単純に楽しかったです!」

 宮市は表情を輝かせた。彼が愛されていることが強く伝わってきたシーンは、アディショナルタイムだった。

 左サイド、五分五分のボールに対して全速力で飛び込むと、福岡のディフェンダーと激しく交錯する形になった。ボールに入ったタックルではあったが、宮市が激しく転倒したこともあって、スタンドからブーイングが降り注いだ。ベンチでは、ケヴィン・マスカット監督が怒りをぶつけるようにペットボトルを叩きつけ、イエローカードを提示されている。

「(監督の)抗議は嬉しかったですね(笑)。その期待に応えたいと思いました。あのシーンはいかなくてもいいシーンだったのかもしれないけど、僕としてはいきたかった。あそこでいけるか、いける感覚はあったので、飛び込みました。試したというわけじゃないですけど、公式戦の舞台で、怖さなくやれたのは自信になるなと思います」

 そう強気に語った宮市はケガと真摯に向き合い、雄々しく復活に励んだのだろう。その様子は、等しくチームメイトの心を震わせていた。同じピッチに立つ者として、どれだけの犠牲を払ったかがわかるからこそ、自然と共闘精神も生まれた。ひとりの不屈さが、チーム全体に強さも与えたのだ。

「(宮市は)途中から出てきてチームにとってプラスで、相手は怖かったはずです。大ケガから戻る姿というのは、チームとして学べるところがあって、自分たちは、その(プレーの)特徴を生かせるようにしたいですね」(横浜FM/渡辺皓太)

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