FC東京・徳元悠平、J1初ゴールで遅咲きの開花 日本代表の左サイドバックの序列はどうなる? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【初ゴールに続いて初アシスト】

 今季、ファジアーノ岡山から移籍してきた。170センチ、73キロ。小柄な沖縄出身の左利きSBだ。

 バングーナガンデと徳元の出場時間に目を凝らせば、バングーナガンデの先発が7回に対して徳元5回。出場時間は613分対480分(追加タイム含まず)だ。開幕当初こそバングーナガンデ優勢だったが、コロンビア戦でバングーナガンデが負傷し、戦列を離れている間に、左SBとして4試合連続スタメンを飾り、存在感をアピールした。長友が左SBとして出場可能な場合もアルベル監督は徳元を使った。前戦の北海道コンサドーレ札幌戦などは、徳元が左利きにもかかわらず、交代出場ながら右SBとして起用していた。

 川崎戦、左SBとして先発した徳元は12分、初めて土を踏んだ国立の大舞台でさっそくスポットライトを浴びた。

川崎フロンターレ戦でJ1初ゴール&初アシストの活躍を見せた徳元悠平(FC東京)川崎フロンターレ戦でJ1初ゴール&初アシストの活躍を見せた徳元悠平(FC東京)この記事に関連する写真を見る 右SB長友のクロスが対角である左サイドの深い位置に流れる。そこに徳元と川崎の右ウイング家長昭博が駆け寄った。徳元がボールを保持、家長がプレッシャーをかけようとした時だった。徳元は思いきりよくゴールライン際から深々と切り返す。そこに足を出してきた家長に対し徳元は重心の低さ、下半身の粘りを武器に球際の争いに勝った。そのままゴール方向をルックアップ。おもむろに利き足ではない右足を振り抜くと、インステップにジャストミートしたボールは、気持ちよさそうにサイドネットの右上に吸い込まれた。徳元の記念すべきJ1初ゴールが決まった瞬間だった。

 前半25分、追加点のシーンも主役は徳元だった。準主役はディエゴ・オリヴェイラで、中盤で川崎のアンカー、ジョアン・シミッチからボールを奪うと左に展開。そこに現れたのが徳元だった。利き足である左足を使い、グラウンダーのクロスボールを、ゴール前に測ったように差し込むと、MF安部柊斗がスライディングでこれを川崎ゴールに押し込んだ。拳を掲げ小躍りする徳元。今度はJ1初アシストが決まった瞬間だった。

 那覇西高校から城西国際大へ進み、J3の琉球FC、J2の岡山を経て今季FC東京入りした27歳。遅咲きの開花に立ち会ったという印象だ。

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