横浜F・マリノスが開幕前の不安要素も一蹴「チーム内の競争が激化」でいよいよ本領発揮か (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 昨夏に移籍加入したブラジル人レフティは、来日1年目の昨季は控えに回ることが多く、わずか5試合出場で、そのすべてが途中出場。今季に入ってからも、ルヴァンカップを除けば先発出場はなく、第10節の名古屋グランパス戦(1-1)までの全試合に出場するも、そのすべてが途中投入だった。第2節の浦和レッズ戦(2-0)で、今季初ゴールこそ決めていたが、存分に力を発揮する機会はなかなか得られずにいた。

 だが、ゴールデンウィーク中の開催とあって、中3日での試合が続いた第11節のサガン鳥栖戦(3-1)。ここでヤン・マテウスは、自身初となるJ1での先発出場を勝ち取り、いきなり2ゴールと大活躍。従来は左サイドでの起用がほとんどだったが、この試合では右サイドに入ると、水を得た魚のように、左利きらしいゴールへ向かうプレーで鳥栖の守備陣を恐怖にさらした。

 まずは0-1で迎えた前半11分、左足で豪快な同点ゴールを突き刺すと、同21分には、右サイドでのコンビネーションから巧みにニアゾーンへ進入し、今度は右足で逆転ゴールをゲット。さらには後半60分、右サイドに開いて攻撃の起点を作り、チーム3点目となるFWエウベルのゴールにつなげている。

 華々しい先発デビューを飾ったヤン・マテウスは、続く第12節の京都戦にも先発出場。2試合連続となるゴールを決めたばかりでなく、CKのキッカーとして先制点をアシストし、1-1に追いつかれたあとは、鋭いクロスからオウンゴールを呼び込み、チームを逆転勝利に導いている。

 この2試合で横浜FMが奪った7得点のうち、ヤン・マテウスが(程度の差こそあれ)絡んだのは、実に6点。いわゆる"逆足"の右FWとして、カットインから多くのシュートチャンスを作るばかりか、セットプレーのキッカーも務めるなど、その存在感は強まるばかりだ。

 一躍時の人となった、ヤン・マテウスが語る。

「チームに貢献する、チャンスをものにするというところは、選手としてはすごく大事なこと。(先発して)出場時間が長くなるとすごく楽しさがあり、本当にのびのびとプレーすることができる。こうやってチームに貢献できてうれしいし、ここに至るまでずっと準備をしてきたので、今後もチャンスをものにしたい」

 こうなると、心穏やかではいられないのは、3トップの右FWとして主軸を務めてきたFW水沼宏太だろう。

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