J1得点ランキングを制するのは誰か 柏レイソル・細谷真大の決勝弾に見るストライカーの能力 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【総合力が高い大迫勇也と鈴木優磨】

 長く日本代表のエースFWだった大迫が、今もトップストライカーなのは間違いない。大した工夫もないロングボールも収められるし、動き出しの質や速さは他の追随を許さず、彼が前線にいるだけで「戦術」になる。武藤嘉紀と並んだ陣容は、迫力満点。直近の名古屋グランパス戦でも、駆け引きでマークを外し、軽々とヘディングを流し込んでいた。

 Jリーグに復帰した当初、大迫は明らかにコンディションが悪かった。また、チーム戦術との不具合(アンドレス・イニエスタ中心の戦術では、どうしてもプレスをつかえず、ラインを下げてしまうため、持ち味が出なかった)もあったが、最近は存在感を取り戻している。名古屋戦の2点目となるアシストも、体の使い方だけでマーカーを置き去りにした。ポストワークの質の高さも含め、今も日本代表に選出されても不思議ではない水準だ。

 ただ、まもなく33歳のFWがいつまでも"覇権"を握るようだと新たな風は吹かない。

 その点で、成熟を迎えつつある鈴木の総合力の高さは特筆に値する。大きな体躯を駆使したポストプレーは、Jリーグでは大迫と並んでトップレベル。昨シーズンはチームの不振に引きずられたが、ヘディングも強く得点パターンは多彩だ。見かけによらず、マークを外す駆け引きは繊細で、細かい動きの積み重ねは芸術的ですらある。大迫が不調だった当時、カタールW杯の日本代表でも有力な存在になり得たはずだ。

 その猛々しい振る舞いは、しばしば物議を醸すが、チームのため、勝利のため、であることは間違いない。むしろ、最前線の選手としては必要不可欠な気概とも言える。森保一監督との確執も伝えられるが、日本代表FWの一番手の座を争ってもおかしくない素材だ。

 カタールW杯日本代表に選出された町野は、高さが武器だろう。直近の柏戦、オフサイドでゴールを取り消されたシーンや、得点となるCKにつながった場面も、バックラインから蹴り込まれたロングボールをヘディングで競り勝ち、味方に配球していた。また、ストライカーに必要とされる「運勢」を持っている。昨シーズンは日本人最高の13得点。ラスト2試合3得点の固め獲りで、W杯代表に滑り込んだ。

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