FC町田ゼルビアが6連勝と快進撃 黒田剛監督の青森山田流堅守スタイルはJ2でも猛威を振るう (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【勝利の方程式がある】

 そんな強固な守備が、試合のスタートから思いどおりにはまらないケースもある。そうした場合でも町田はチーム全体で決して慌てず、どっしりと構えることができる。

「町田のCB、GK、守備のユニットは、J2でも上位の力があると思っています。相手にボールを持たれても、ボールを差し込まれても、最後のところでやらせなければいい。その自信があるので、どーんと構えることができています」

 キャプテンの奥山政幸の言葉が、町田の強さを象徴するマインドである。我慢を強いられる展開でも前半をゼロで耐え、黒田監督のハーフタイムでの的確な修正によって、守備の機能を取り戻すのが町田の勝ちパターンだ。

 藤枝戦でもシステムの噛み合わせのズレによって、思うように守備がはまらなかった。藤枝は3-4-2-1のシステムで、ボール保持時はウイングバックが高い位置を取り、町田の4バックに対して前線に5人が並ぶ形をとった。

 町田は中盤の、サイドと中央の間のハーフレーンを、藤枝の2シャドーに使われるか、あるいは大外に開いたウイングバックにボールを展開され、質的な優位を取られて藤枝に前進を許した。

 前半はサイドハーフが最終ラインに吸収されるような形になって抑える場面もあったが、それによって中盤の枚数が足りなくなり、押し込まれる展開が続いた。

 それでも「サイドバック(SB)が中に絞ってギャップを締めて、空いてくるスペースをサイドハーフが対応することで相手はもう一歩入って来られなくなった。それが逆に我々のチャンスにつながったと思います」(黒田監督)。

 このハーフタイムの修正で、中央に差し込まれていたボールの流れを外へ追い出した。

「外で回されるのはOKというか、結局最後にボールはゴールに来るので、そこで跳ね返せばいいという感じでした」

 奥山はそう振り返る。相手の強みであるウイングバックへボールが渡るリスクはあるが、狙いが明確になることで町田の守備は迷いがなく、腹もくくれる。

 そして80分には、前線を一枚削ってCBのチャン・ミンギュを投入。5バックでうしろの数を合わせることで相手の深い位置への進入を許さず、クリーンシートでゲームセットしてみせた。

 藤枝が果敢に攻めたようで、終わってみれば町田の想定内のゲームプランで終始時計の針は進んでいた。黒田監督の勝利の方程式どおりの完勝だった。

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