アビスパ福岡が「今季で一番よくなかった」試合で勝ち点1 J1残留が目標のチームからさらなる進化ができるか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 今季J1第5節終了時点で3勝1敗1分けの勝ち点10は、首位・ヴィッセル神戸と勝ち点2差の4位。新たなシーズンで絶好のスタートをきったのは、昨季14位のアビスパ福岡である。

 1996年にJリーグ(J1)新規参入を果たした福岡は、しかし、2002年にJ2降格となって以降、J2暮らしが長く続いた。

 その間、2006年、2011年、2016年と3度のJ1復帰はあったが、いずれも1年でJ2へ逆戻り。J1残留は、高い壁となって福岡の前に立ちはだかってきた。

 しかし、長谷部茂利監督が就任した2020年にJ2で2位となり、5シーズンぶりのJ1復帰を果たすと、翌2021年はクラブ史上初のひと桁順位(8位)でJ1残留に成功。昨季も一昨季から順位こそ落としたものの、残留圏内に踏みとどまった。

 J1での3シーズン目を迎えた今季はスタートダッシュにも成功し、J1残留からJ1定着へと、さらなる強化を予感させているというわけだ。

 そんな好調・福岡が思わぬ苦戦を強いられたのは、J1第6節。前節終了時点でいまだ勝利がなく、最下位に沈んでいた横浜FCとの一戦である。

 試合序盤、主導権を握ったのは福岡だった。

 中盤でのボール奪取とサイドからの攻撃で横浜FCに圧力をかけ、敵陣深くまで進入。連続攻撃を繰り出すなかでPKを得ると、これをFW山岸祐也が決め、前半16分に先制点を奪った。

 その後は、横浜FCがボール保持の時間を増やしはしたが、福岡は無理にDFラインを上げることなく、しっかりとうしろに守備の人数をそろえ、危なげなく対応。焦る相手にボールを持たせておけばいい――。そこでは、そんな冷静かつ手堅い判断が働いているかに見えた。

第6節の横浜FC戦も山岸祐也(中央)のゴールで先制したアビスパ福岡だが...第6節の横浜FC戦も山岸祐也(中央)のゴールで先制したアビスパ福岡だが...この記事に関連する写真を見る

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