「2番手、3番手くらいの選手」が夢と勇気と希望を与えてくれた。岡山学芸館の決勝メンバー13人は全員「街クラブ」出身 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 木鋪虎雄●写真 photo by Kishiku Torao

【青山敏弘を輩出したクラブも】

 対する岡山学芸館のメンバーには、愛媛FCのアカデミー出身選手がいるものの、出場機会はなかった。決勝のピッチに立った13人は、いずれも「街クラブ出身選手」である。

 2ゴールで勝利の立役者となったMF木村匡吾(3年)は、中学時代は大阪の「高槻ジーグFC」というクラブでプレーしていた。越境で岡山学芸館に進学したのは、先輩の助言があったからだという。ほかにもトップ下を務めるMF田口裕真(2年)、木村と2ボランチを形成したMF山田蒼(3年)、FWの坂口空良(3年)も高槻ジーグFCから加わった選手たちだ。

 大阪府出身の木村にとっては、C大阪やG大阪のジュニアユース出身者の多い東山は、意識せざるを得ない相手だっただろう。

「今日も試合前のミーティングで、そういう話もあったので、ちょっとは意識しました」と振り返る。いわば中学時代は格上の選手たちであり、負けたくない気持ちは強かったはずだ。

 そんな相手に対し、身長163cmとは思えない打点の高いヘッドで勝ち越しゴールを奪取し、ダメ押しのボレーシュートも叩き込んだのだから、これ以上ない結果だろう。

「少しは意識しましたけど、どんな相手でも集中して全力でやることは同じ。だからあまり気にせずにプレーしたことがよかったと思います」

 キャプテンの井上斗嵩(3年)は「ハジャスFC」出身の選手だ。ハジャスFCはサンフレッチェ広島の青山敏弘を輩出したクラブであり、岡山では強豪として知られている。東山の猛攻を1失点に凌いだ守備の要は、「相手にJユース(出身者)がいるなかで、まずは気持ちで負けないことを意識して戦いました」と振り返った。

 東山にはC大阪への加入が内定している阪田澪哉(3年)がいるが、このエースに際どいシュートこそ放たれたとはいえ、ゴールは許さなかった。

「注目選手を倒してやろう、という気持ちが強かった。小粒の集団ですけど、群がって、群がって、全員で止めることを意識しました」と胸を張った。

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