岡山県勢初の快挙達成なるか。下馬評は高くなくとも「このチームは強いと思っていた」岡山学芸館が決勝へ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 結局、スコアは3-3から動かず、勝負の行方はPK戦に持ち込まれた。決勝に駒を進めた岡山学芸館にしても、90分で決着をつけられたわけではない。

 しかし、「PKは運もあるが、積み重ねの結果」と高原監督。毎日のようにPK練習を続け、「思ったところに強いボールを蹴れるように」と取り組んできた成果が、PK戦勝利となって表れた。

 堂々たる、初の決勝進出である。

 それにしても、今大会の岡山学芸館は戦い方の柔軟性が際立っている。

 準々決勝の佐野日大戦では、ボールを保持して主導権を握る戦いを見せ、4-0と圧倒。その一方で、3回戦の國學院久我山戦では、相手にボールを持たれる時間が長くなるなか、粘り強い守備とカウンターで応戦。得点こそできなかったが、0-0からのPK戦をモノにしている。

 そして、準決勝の神村学園戦では一転、2度のビハインドを追いつく激しい打ち合いを演じたことは、すでに前述したとおりだ。

 高原監督が「ボールを大事にしたいというスタイルを貫いてきた」と語るように、本来理想とするのは、佐野日大戦のような戦い方なのかもしれない。

 しかし、それができなかったからといって、簡単に崩れてしまうことがない。そこに岡山学芸館の強さがある。

 2ボランチの一角を務め、背番号10を背負うMF山田蒼は、「僕らの粘り強さ、ハードワーク、走る力は全国でも強いと思う。今日の試合(準決勝)でも、そういう強さは出たのかな」と言い、こう語る。

「ボランチからしたら、(國學院久我山戦のような試合は)回されるのでしんどいですけど、ずっと焦れずにやっていた。今のチームは走れる選手が多くて、元からそういう根性があるというか、(粘り強さが)身についたというより、元から持っていたものがチームとしていい感じにハマって、強みになったのかなと思う」

 チームをまとめるキャプテンのDF井上斗嵩もまた、「(このチームは)粘り強く戦えるというのがベースにある」と言うが、それは決して守勢に回って耐え続けることだけを意味するわけではない。井上が今大会での手応えを口にする。

「粘り強く戦うなかで、奪ったボールを横パスやバックパスにするのではなく、前へ、前へ、どんどん(相手の守備の)ギャップに刺していったり、相手の背後だったりを狙っていくということを、試合を通して、状況に応じてやることができている」

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