岩本輝雄が選ぶJリーグ歴代フリーキッカートップ10。「羽田空港みたい」「釣り竿のよう」「爆発音」で驚いた名手たち (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【自分が持っていないものを持っている】

4位 三浦淳寛(元横浜フリューゲルス、東京ヴェルディほか)

 彼の武器と言えばやっぱり無回転FKですよね。僕の名古屋時代に2004年の1stステージの東京ヴェルディ戦で、楢崎正剛がFKで2発決められたのをよく覚えています。こういうランキングだと、自分が持っていないものを持っている選手を選びがちですけど、彼の無回転FKはまさにそうですね。

 体型的にも軸がしっかりとしていてパワーもあって、ボールを押し出すようなキックがうまかったと思います。無回転ボールは、特性として何度も枠に行くわけではないけど、そのうちの何回かが枠にいけば入っちゃうキックですよね。

 僕も結構練習したんですけど、なかなかうまくいかなかった。無回転を操れるというのは、本当に技術が高かったんだと思います。

3位 福森晃斗(北海道コンサドーレ札幌)

 コンサドーレには練習をよく見に行くので、彼とはいろんな話をしますね。お互いプロレスが好きなので、サッカーよりもその話が一番盛り上がるんですけどね(笑)。

 彼の左足のキックは本当に武器だと思います。今季はなかなか入らなかったけど、第29節の磐田戦で鮮やかなFKを決めていました。あれもいいゴールだったけど、彼のFKで一番印象に残っているのは、やっぱり2019年のルヴァンカップ決勝の延長戦で決めたゴールですね。

 あのシチュエーションで決めたということが、まずすごかった。決勝の超満員のなかで、しかも相手は古巣の川崎。その大舞台で、ファーにあれだけのキックをぶち込めるのは本当に見事だと思いますね。

 もっとFKの機会があれば、彼はもっと決める力があると思います。駒野友一選手のDF登録選手のFK得点記録(10得点)を抜きたいと本人は言っていましたけど、それも機会さえあれば抜けると思います。

2位 中村俊輔(元横浜F・マリノス、横浜FCほか)

 彼がデビューした1997年に三ツ沢球技場で試合をしたんですが、あれは今でも覚えていますね。雨が降っていた5月3日。試合はベルマーレが4-2で勝つんだけど、後半から彼が出てきたんですよ。

 それで試合終了間際にペナルティーエリアの5mくらいうしろで相手のFK。そこから壁の上ギリギリを狙ったライナー性のボールをニアに突き刺して、GK小島伸幸さんも防げなかった。あれが彼のプロ初ゴールだったんですよね。

 彼の桐光学園の頃から見ていて、高校サッカー選手権でもFKを蹴っていて、「いいキックを持ってるな」と思っていました。そうしたら実際にやられてしまった(笑)。

 彼はとにかくキックが多彩。速く曲げるボールもあるし、距離が近ければフワっとしたコースを狙うだけのボールもいける。僕は"羽田空港"みたいだって言ってるんですよ。全国から羽田に飛行機が飛んでくるように、彼もいろんなキックでどこからでも狙えるので。

 横浜FM時代ですね。みなとみらいの練習場で、ひとりでFK練習しているところを見たことがあります。あれだけやっていたらうまいはずだと思いましたね。僕も結構練習したけど、それよりもすごかった。彼が1位でもいいくらいだと思います。

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