ジュビロ磐田は「クラブとして全然足りない」。選手は敗者の沼に陥り、自信を失っていた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

露呈した編成面の問題

 一方、G大阪はホームの声援を背にペースを握ったが、彼らもそこまで熱を感じさせない。負けることが最悪の結果となる彼らにとって、勝負どころを見つけるのは磐田よりも難しかった。そのリズムで戦い続け、終盤まで同点だったら、足元を掬われていたかもしれない。

 しかし、G大阪は宇佐美貴史が違いを見せる。25分に初めて守備ラインを籠絡したスルーパス。41分には自ら3人を置き去りにし、ラインを突破するドリブルで絶好機を作った。

「ハーフタイムに、『二つ三つ、ギアを上げないと勝てない』とは伝えました。それは自分に言い聞かせる意味も含めて。前に前に、守備もゴールに向かって、と」(宇佐美)

 ただ、磐田も後半途中までは互角以上の戦いを演じている。ボランチの遠藤保仁、トップ下の山田大記がボールを触るたび、チャンスの予感があった。58分、山田がチャンスを広げ、右からのクロスに遠藤が走り込んで合わせたシーンは可能性を感じさせた。

「攻撃面で、自分たちが狙ったスペースとかは使えたと思います。ただ、相手のほうがチャンスの数でも上回っていました。やはり、そこは力不足なのかなと」(山田)

 この決定機を外したことが、潮目になった。

 後半、G大阪が食野亮太郎、パトリックを投入した一方、磐田は65分に山田をベンチへ下げる。磐田の攻め手は限られるようになり、中盤も疲労から動きが重くなった。結果的にボランチの背後にスペース与えて、66分に食野が危険地帯でボールを受けるのを許し、左足でファーポストに流し込まれた。

「反骨心が自分の真骨頂で。(G大阪復帰後、先発しても結果が出ない)悔しさをいいところに持って行けました。(バックラインとボランチの間の)あそこでボールを受けてほしいとは言われていたし、そこに入るのが自分のサッカーで、交代で入ってボールが来て、とにかく(足を)振るだけでした」(食野)

 73分にも、磐田は"被弾"した。同じく交代出場のパトリックにオーバーヘッドでゴールネットを揺らされている。2-0とリードされた直後、総動員の3枚替えも、反撃する余地は残っていなかった。

 今シーズンを振り返ると、編成面から厳しかったと言える。

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