浦和レッズにACLで千載一遇のチャンス。前線2人の多彩な関係はJリーグ随一だ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 だが、浦和の1トップには、他にも真打ちと言うべき選手がいる。キャスパー・ユンカーだ。この日も後半21分、松尾に代わり投入されている。ロドリゲス監督は同じタイミングで、さらに江坂を小泉に代えて入れている。ユンカーと江坂を縦に並べたのだ。1トップと1トップ下は、後半のなかばからまったく別のセットに取って代わることになった。

 そこに浦和の魅力を見た気がした。1トップあるいは1トップ下のいずれかを残し、軸を維持しながら手を加えるのではない。まるで毛色の違う新しいセットを前戦に据える。選手交代5人制の時代に適したスタイルだと言える。

 後半27分に挙げた4点目の得点者は、途中交代で左ウイングに入った明本考浩だったが、彼にシャレの利いたラストパスをアシストしたのは江坂だった。監督の引き出しの多さを、相手のやる気をすっかり削ぐようなこの4点目に見た気がした。

 左右両ウイングが形作る、確かなフレーミングのなかで、前線2人が多彩な関係を組む浦和のサッカー。日本代表がもっと追求すべきアイデアでもある。

 それはともかく、ACL準決勝・全北現代戦を楽しみにしたい。浦和が千載一遇のチャンスを迎えていることは確かである。

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