中村憲剛、内田篤人、阿部勇樹......。スター選手の監督姿をすぐ見たい。福田正博が指導者ライセンスについて提言

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■サッカー界で活躍した選手たちの引退に際し、「次は監督としてピッチに戻ってきて」というファンの声がよく聞かれる。だが、Jリーグで監督ができるS級ライセンスを取得するまでには、引退後一定の期間が必要だ。引退した選手の監督姿をすぐに見られるようにはならないのだろうか。福田正博氏の考えを聞いた。

JFAのロールモデルコーチとして、アンダーカテゴリーの代表チームの活動で指導している内田篤人JFAのロールモデルコーチとして、アンダーカテゴリーの代表チームの活動で指導している内田篤人この記事に関連する写真を見る

【引退から数年後ではワクワク感が薄まる】

 Jリーグでは、この1、2年で一時代を築いた多くの選手たちがピッチを去った。中村憲剛、内田篤人、佐藤寿人、阿部勇樹、大久保嘉人、玉田圭司など......。彼らは将来的に監督になることも想定して指導者ライセンス取得に動いていると聞く。

 しかし、実際に彼らがピッチサイドに立って檄を飛ばす姿を見られるのは、まだまだ先になる。

 周知のとおり、Jリーグや日本代表で監督をするには、日本サッカー協会(JFA)公認の指導者ライセンスの最上位にあたるS級ライセンスが必要になる。選手としての実績がどれだけあっても、段階を踏んでライセンスを取得していかなければならない。

 昨年11月に、日本代表で20試合以上の出場経験を持ち、B級コーチ養成講習会の成績が優秀だった元選手に対しては、A級ライセンス取得前に求められる1年間の指導実績要件が緩和されることになった(※A級を取得した上でS級を取得する)。それでも、引退してから監督になるには、やはり一定の期間が空くのだ。

『十年一昔』という言葉があるが、今の時代、10年前どころか4〜5年前に活躍した選手さえも忘れられていることが少なくない。たとえば2018年ロシアW杯の日本代表メンバー全員を言えるだろうか? だから、数年後に中村憲剛や内田篤人が監督に就任しても、いまある期待感やワクワク感が薄まってしまうのではないかと思ってしまう。

 そもそもプロスポーツは、たくさんの観客がスタジアムにつめかけることで成立する興行だ。採算事業として継続していくために不可欠なのが、新規顧客の獲得だ。一定数のファンがいるからと胡座をかいていては、何年後かにはファン層の高齢化が進み、若者から支持されなくなってなってしまうからだ。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る