玉田圭司が印象に残っている4人の名監督。「たまに練習に入ってきて、とんでもないボレーを決める」監督も (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

【プロになっても技術的に改善できた】

 また2017年から2シーズン、名古屋に戻ってきた時に同じタイミングで就任した風間八宏監督(現セレッソ大阪技術委員長)からは、別の意味で衝撃を受けた。

「技術に対して、本当に細かい指導を受けました。最初、トラップ練習から入りましたからね。当時、僕は37、38歳くらいだったんですけど、一からトラップやショートパスをやり直すというのは、ちょっと不思議な感覚で。

 正直、はじめはそんなことをプロでやるのか、と思いましたけど、そのうちみんなうまくなっていった。プロになっても、まだまだ技術的に改善できることはあるんだとわかりました。特に若手は、みるみる伸びていきましたね。居残りで、ひたすらトラップをしている選手もいたりして。風間さんの伝え方も、すごく勉強になりました」

 プロになる前に在籍していた習志野高校では、高校サッカー界の名指導者、本田裕一郎監督(現国士舘高校テクニカルアドバイザー)にも教えを請うた。玉田のモットーでもある「楽しむこと」や、スキルフルなプレースタイルの素地は、そこで身につけたものだ。

「僕の原点ですね。細かく指示されたりはせず、気持ちよくプレーさせてもらいました。当時の高校サッカーでは珍しく、体力よりも技術を重視していたので、朝練でも走り込みとかではなく、ドリブルやリフティング、ミニゲームをやっていましたね。だから、自分にはすごく合っていた。習志野高校に行って、よかったなと思います」

 では今後、「指導者も選択肢のひとつ」にあると言う玉田が、もし実際に指導の現場に立つなら、どんなチームをつくりたいのだろうか。

「何かの真似をしようとは思わないけど、やはりペップ(・グアルディオラ監督が率いた頃)のバルセロナは参考になるかもしれない。あの頃のバルサって、(リオネル・)メッシのチームみたいに捉えられがちですよね。もちろん僕もメッシを見ていることはあったけど、そのうち中盤の(アンドレス・)イニエスタ、シャビ、(セルヒオ・)ブスケツに目が行くようになって。彼らがどうやってゲームをコントロールしているんだろう、と。ゴールやチャンスはどうやって作られているのだろう、と」

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