襲いかかるラモス! 永井秀樹監督が映像で選手に闘争心を注入→ヴェルディの連勝が始まった (5ページ目)

  • 会津泰成●取材・文 text by Aizu Yasunari
  • photo by Getty Images

「勝利に対する執着心の大切さを、選手たちは短い準備期間の中でしっかりと理解しピッチで表現してくれた。そういう意味でも本当に大きな勝利だった。相手を徹底的に分析し少しでも優位性をとるために相手の隙や弱点を探って戦術を考えることは、監督としての大きな仕事。でも、最近特に考えるのは、『戦術は選手ありき』ということ。戦術に選手を当て込むのではなく、『選手ありきの戦術』を大切にする。そのバランスというか、境界線は難しいところではあるけれど、それは強く意識するようになった」

 理想的な形で勝利を掴んだ秋田戦の1週間後の岡山戦(6月5日)。ヴェルディはこの試合も粘り強く戦い、0-0のまま突入した後半アディショナルタイムに劇的なゴールを決めて勝利を掴んだ。

 続くジェフ千葉戦(6月13日)でも、相手に奪われたボールに対して粘り強く、前線から執拗に追い込んで奪い返し、すぐさま攻撃を仕掛け続けるシーンを何度も見せて1-0で勝利を掴み、今季初の3連勝を飾った。4試合連続で先発出場した山口も、機敏で力強い突破やクロスボールで攻撃参加し、守備でも同様に果敢に競り合い貢献した。いまや不動の左サイドアタッカーを狙える存在まで成長した。

 ヴェルディは、第19節のSC相模原(6月20日)戦でも勝利(2-0)し、連勝を4に伸ばした。

「我々が現状で目指すこととできることは何か。そこをしっかりと見極めつつ、愚直に努力し続ける。我々の長い目で見た縦軸、理想は変わらない。サッカーに対する夢や理想があるからこそ頑張れる。それはこれからも、ブレずに続けたい。

 ただし、理想を追求しながらも謙虚に、目の前の一戦一戦を大切に、相手がハードワークするならば自分たちはそれ以上にハードワークをする。相手よりも一歩でも前に進み走り勝つ。戦術も理想もすべては勝利のために。読売クラブ、ヴェルディの強さの根本にあった勝利に対する執着心を大切に、泥臭く、労を惜しまず戦っていきたい」

 積み重ねてきた努力は少しずつ、新しいヴェルディの歴史を作り始めているのかもしれない。

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