「お家芸」に全集中。V候補・青森山田が劣勢を制して3年連続8強へ (2ページ目)
キャプテンとしての責任を感じてか、藤原の語気が自然と強まる。
「守備の強度(不足)に尽きる。球際の競り合い、ハードワーク、攻守の切り替えを徹底してやってきたのに、それをこの舞台で出せないと、何のためにやってきたんだということになる」
しかしながら、そんな試合内容になろうとも、結果的にまさかの番狂わせを起こさせないのが、青森山田が優勝候補たる所以である。
苦しい試合から青森山田を救ったのは、もはや同校のお家芸とすら言ってもいいロングスロー。実に4得点のうち3点までをロングスローから奪い取り、内容で上回る帝京大可児を振り切った。黒田剛監督が語る。
「(ロングスローに限らず)トータル的に何でもできないとダメ、というのが青森山田のテーマ。苦しいゲームではかなり効果があった」
ロングスローから3得点を奪って4-2で勝利した青森山田 ロングスローを担当するのは、DF内田陽介。ゴール前で待つ身長182cmの藤原と、同186cmのDFタビナス・ポール・ビスマルクをターゲットに、正確性の高いボールを投げ込むことで、いわば"混戦"を生み出すのが狙いだ。
キックに比べてスピードが出ないロングスローは、直接ヘディングシュートを叩き込むのが難しい一方で、相手選手にとっても大きくクリアするのが難しい。つまり、仮に藤原やタビナスが完璧な形でヘディングできなくとも、セカンドボールからチャンスが生まれる可能性は十分にあるということだ。
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