動じない逸材・西川潤に監督から重いメッセージ。夏の日本一は通過点 (3ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

「言われるのは仕方がない。A代表の人はもっと言われているから気にしていません」

チームを優勝に導く活躍をした西川潤チームを優勝に導く活躍をした西川潤 もちろん、責任は感じている。だが、立ち止まっていても何も始まらない。受け入れて、次につなげる。過去に挫折を乗り越えた時と同じように、結果で応えるしかない。

 ブレずに貫いた信念。今回のインターハイでは序盤こそ沈黙したが、準々決勝の西京戦ではアディショナルタイムの勝ち越し弾を含む2ゴール、準決勝の京都橘戦でも終了間際に均衡を破る決勝点を沈めた。

 決勝では自らのゴールでチームを勝たせられなかった。そこは反省点かもしれない。だが、1年間で精神的にタフになって桐光学園を優勝に導いたのは確かだ。

「1年前の決勝はとにかく悔しかった。今後プロに行っても、一生忘れられない」

 決勝後の囲み取材で、鈴木監督は最後にこう言った。

「大会を通じて、彼の出来は決して褒められるようなものではないし、彼が目指しているところはこんなものではない」

 横浜F・マリノスのジュニアユースから、ユースではなく、戦う姿勢を身に着けたい一心で自ら挑んだ高校サッカーも残り半年。端正な顔立ちでクール。気持ちが表にあまり出ない場面も多いだけに、「あいつはなんだ!」と批判に晒されることもあるかもしれない。だが、1年前に味わった悔しさはいつも心の中にある。「夏の優勝に満足していてはいけない」と言う西川にとって、夏の日本一は通過点に過ぎない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る