屈辱のJ3転落で「芯」が通った大分トリニータ。超速J1昇格なるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara - JL/Getty Images for DAZN

 とはいえ、この日の大分が勝利できたのは、ボールポゼッションを軸にした攻撃だけが理由ではない。それ以上に大きかったのは、ともすればポゼッション主体のチームにありがちな"軽さ"がまったく見られなかったことだ。

「アウェーで、松本相手ということで、厳しい戦いを覚悟して臨んだ。球際や走るという部分で隙のない素晴らしいチームを相手に、我々が37試合で積み上げてきたものが通じるかどうかのチャレンジだった」

 雨中の激闘を制し、大分の片野坂知宏監督はやや上気した様子でそう話し始めると、誇らしげに、そして力強く続けた。

「選手は最後まで(集中力を)切らさず、一体感を持って自分たちの戦いをやってくれた。勝ち点3に値するプレーで、松本を上回ることができた」

 指揮官が語るように、大分は自らの特徴であるボールを保持して攻撃を組み立てるという点はもちろん、ルーズボールの競り合いや、ゴール前での最終局面で相手選手よりも先にシュートコースやパスコースに体を入れるといったハードワークでも、松本を凌駕していた。

 もちろん、スコアのうえでは2点差にすぎないゲームは、「(勝敗を分けたのは)ちょっとしたところの差。もしかしたら、逆に我々が勝ち点を落としていたかもしれない」(片野坂監督)。だが、客観的に内容を見れば、大分の勝利は極めて妥当な結果だった。

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