中村憲剛の司令塔は妻「彼女と出会って、僕の人生はすべてが好転した」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 当初はボランチでプレーするのが初めてだったから、少しびびっていたところもあって、前を向けるのに向かなかったり、バックパスを選択してしまったりすることもあった。そんなとき、ジュニがかっ飛んで来て『なんで前を見ないんだ! とにかく真ん中から前線にボールをつけろ!』って言われました。あまりに『オレに出せ、出せ』って言われるから、僕もちょっとムッとしてパスを出したら、そのまま前を向いて、本当にゴールを決めてしまった。それからはもう、『仰せのままに』って感じでしたよね(笑)」

 ピッチにいるフィールドプレーヤーの中で、特に中村だけに要求が強く、「なんで自分だけが言われなければならないのか」と思ったこともあったという。それが「期待の裏返しだった」と知ったのは数年後のことだ。

「次から次へとジュニの要求に応えていくうちに、『こいつ、やれるな』って思ってくれたのかもしれない。次第に自分がジュニを使う場面も増えてきて、彼のイメージと自分のイメージがシンクロするようになった。ホットラインっていわれる関係ってそうそうないじゃないですか。僕の中で思い浮かぶとしたら、ジュビロ磐田時代の名波(浩)さんと中山(雅史)さんレベル。自分で言うのもあれですけど、それくらい僕とジュニのコンビは最高でした」

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