高校サッカー選手権の前回王者、東福岡が立ち直った「1回戦負け」の夜 (2ページ目)
藤川はその敗因について、「選手の個が強く出すぎた」と分析する。
「今年のチームは、どこからでも点が取れる力はあるんですが、それぞれが個人プレーに走る場面が多かったですね。パスが回ってこなくて、『えっ?』ってなる場面もけっこうありました。去年のチームも個人の能力はすごく高かったけど、『チームのために動く』ことを優先していた。僕たちはそれができていませんでした」
それに拍車をかけたのが、選手間のコミュニケーション不足だ。2年生から試合に出ていた選手の発言権が強く、ほかのメンバーが反論できずに話し合いが終わることもたびたびあったという。キャプテンの児玉は、意思疎通ができなくなったチームに危機感を抱いていた。
「インターハイは、自分たちがどんなサッカーをしたいのか、共通認識がないまま試合に入ってしまいました。去年、試合に出ていたメンバーが強引に引っ張るチームになっていたと思います。『オレたちが普通にやったら勝つだろう』という油断や慢心があったのかもしれません。その結果、前年の王者として臨む初戦のプレッシャーを跳ね返すことができませんでした」
個に頼るチームの限界がインターハイ初戦敗退という形となって表れたその夜、宿泊していたホテルの一室に選手のみが集まり、緊急ミーティングが開かれた。テーマは、「今、チームのために何をすべきか」。普段は発言を控えていたメンバーも、ひとりずつ胸の内にしまっていた想いを吐き出していった。
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