名波浩監督が明かす、ジュビロを救った「奇跡のゴール」秘話 (3ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

福田 でも、最後に点を取りにいかなければいけない状況を想定して、準備していたわけだから、冷静だったんじゃないの?

名波浩(ななみ・ひろし)/1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。2014年シーズン終盤、J2で戦う古巣・ジュビロ磐田の監督に就任。同年のJ1昇格は逃すも、翌2015年シーズン、自動昇格圏内の2位という結果を残してJ1昇格を決めた。現役時代は日本代表の「10番」を背負って、日本初のW杯出場に貢献した。名波浩(ななみ・ひろし)/1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。2014年シーズン終盤、J2で戦う古巣・ジュビロ磐田の監督に就任。同年のJ1昇格は逃すも、翌2015年シーズン、自動昇格圏内の2位という結果を残してJ1昇格を決めた。現役時代は日本代表の「10番」を背負って、日本初のW杯出場に貢献した。名波 確かに、頭の中はクリアでした。

福田 ベンチが慌てたり、バタバタしたりすると、それがピッチにいる選手に伝わるでしょ。それで、選手も慌てたりするんだけど、そういう雰囲気がまったく感じられなかったから。

名波 そうですね、選手も、ベンチも、落ち着いていましたね。

福田 だから、再び勝ち越すことができたんだろうね。選手もほんと、よく決めたと思うよ。

名波 最後のゴールは、決めた小林本人も言っていましたけど、1年間、あの練習をずっとやってきていましたからね。コントロールシュートの練習を。

福田 いいシュートだった。あのシュートを決め切れるのは、すごくいい選手だと思ったよ。

名波 いい選手ですよ。ゲームを作る選手として「常にボールサイドに顔を出して、ボールを触りながらゴール前に行け」ってずっと言ってきて、やっと殻を破った感じ。まあ、最後の5、6試合ですけどね、よくなってきたのは。

福田 何にしても、無事J1昇格を決めてよかったよ。それで、ちょっと話を戻したいんだけど、J2での2年目のシーズンを迎えるにあたって、それまで主力だった選手が結構チームから移籍することになったでしょ。特に、FW前田遼一(FC東京)をはじめ、攻撃陣の主力がたくさんいなくなって、不安はなかった?

名波 もちろん、ありましたよ。でも、彼らのサッカー人生だから、こっちが強引に引き止めるわけにはいかないし……。それに、一度“チームを壊す”という意味でも、そこから新たなチームを作り上げるという意味でも、大きな柱がなくなることが、ひとつのいいきっかけになるのかな、と思うようにしました。それで、(川崎フロンターレにいた)デカモリシ(FW森島康仁)にすぐ声をかけて、FWジェイも獲得した。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る