【育将・今西和男】上野展裕「今西―オフト体制に憧れていた」 (2ページ目)

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko   photo by AFLO

 下部リーグからJリーグを目指す地方クラブにとって、結果が重要なのはも ちろんだが、サッカーそのものの魅力を伝えることも大きな命題と言えよう。何となればリアリズムに凝り固まったスタイルで勝てなくなった途端に、スタ ジアムへの客足は遠のく。県庁行政、地方銀行、地方紙、そしてもちろんスポ ンサー......これらを巻き込んでクラブの支援、後押しを磐石にするためには、その気運が勝敗に左右されるようでは長続きしない。そのためには地域密着の イベントなども有効ではあろうが、何よりも勝とうが負けようが、また観に来 たいと思わせるサッカーをピッチの上で提供することが肝要である。

 上野はまさにこの「魅せて勝つ」ことをJ3、1年目で成し遂げた。早くも名将という呼び名がweb上などでも散見されるが、それでも本人に驕(おご)った様子は一切ない。

「今はストーブリーグと言いますか、補強も担当しているので毎日忙しいんで すよ」
 
 強化に向けての選手視察や交渉も監督自らが受け持っている。地元のサポー ターに聞くと編成のみならず、練習場でもトレーニングに関わる準備の雑務を 先頭切ってこなしているという。

 上野は2014年のレノファの監督就任直後、3月3日の中国新聞の「私の学び」 と題したインタビュー記事でこのようなことを語っている。

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