サッカー日本代表「若手・中堅・ベテラン」の黄金比率を考える (3ページ目)
一方、シンガポール戦から8人を代えて臨んだカンボジア戦は、スタメンとしてピッチに送り出された選手たちは見せ場をつくれずに終わった。ボールがバウンドするたびに人工芝に撒かれた黒いチップが跳ね飛び、ボールの勢いが削がれる不慣れなピッチに苦しんだ部分を差し引いても、課題の多い内容だった。
メンバー構成でも疑問に感じる部分はあった。それは、ボランチに遠藤航と山口蛍を並べたことだ。守備の時間が増える強豪であれば、ふたりが先発するのは理解できるが、引いて守るカンボジアをどう崩すかがポイントになる試合に、守備が持ち味の彼らを並べたら、攻撃が手詰まりになるのは予期できたはずだ。
この連載で以前にも書いたが、選手をテストするにはチームの根幹を成すメンバーがいる状況で試さなければ意味がない。なぜなら、新戦力がチームにどういった効果をもたらすかがわかるからだ。
これに加え、日本人特有のメンタリティーも関係する。日本人選手の場合、経験値の豊かな選手と一緒に起用して、新戦力に安心感を与えると、より溌溂としたプレーをする。しかし、反対に安心できる環境でなければ、新戦力は萎縮して、与えられたポジションをそつなくこなすことに徹してしまう傾向にある。
これが南米やアフリカなど海外の選手なら、チャンスを与えたら「無難なプレー」という選択肢はないだろうが、日本人はミスを恐れてリスクを冒さない傾向があるため、それをふまえて力を発揮しやすい環境を整える必要がある。
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