イラン戦で判明。日本代表の最大の課題は「パススピード」

 相手が得意とするボディコンタクトが発生しないようにするには、長い芝でも速いパスを出して、相手が寄せてくる前に次のプレーに移るしかない。そのためには、芝の長いピッチでも速いパスを出すためのパワーと技術が求められる。

 しかし、Jリーグが誕生して20年以上が経ち、選手たちは子どもの頃から芝や人工芝グラウンドの恵まれた環境下でプレーしている。そのため、軽く蹴っただけでも、ボールが転がる感覚が染み付いている。さらに、Jリーグでもボールが速く転がるように芝を短く刈ったピッチで試合が行なわれている。

 もちろん、こうした環境でプレーすることで、日本の選手はつねに顔を上げてプレーし、視野が広くなってテクニックを伸ばすことにつながっている。その反面「ボールを蹴る筋力」は、意識して鍛えなければ養われない環境になっているといえる。

 ヨーロッパの強豪国もサッカー環境は日本のように整っていて、芝が短く刈られた凸凹のないピッチで子どもの頃からサッカーをしている。しかし、スペイン代表やドイツ代表は、どんなピッチコンディションであろうともパススピードが遅くなることはない。

 これは、ヨーロッパの多くの国は育成年代から陸続きの近隣国に遠征して、整備されていないグラウンドでの試合もユースの頃から経験しているからではないだろうか。つまり、子どもの頃からさまざまなグラウンド状況に適応する能力や筋力を養えている。

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