ガンバを三冠に導いた長谷川健太監督の「三大革命」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 天皇杯決勝でガンバ大阪がモンテディオ山形を3-1で下し、前身の松下電器時代を含めて、5大会ぶり4度目の優勝を果たした。これで、ナビスコカップ、Jリーグと合わせて、2000年の鹿島アントラーズ以来となる「三冠」を達成。J2からの昇格初年度としては、史上初の快挙となった。
三冠を達成して満面の笑みを見せるガンバの長谷川監督。三冠を達成して満面の笑みを見せるガンバの長谷川監督。
「チームの総合力です」

 長谷川健太監督は、「三冠」を成し遂げた要因をそう語った。

 11月、最初の一冠となるナビスコカップ優勝を飾ると、「総合力」という言葉が、監督、選手をはじめ、チーム全体から聞こえてくるようになってきた。はたして、三冠という偉業を遂げたガンバの「総合力」とは、いったいどんなものなのか。それは、長谷川監督が行なってきた、いくつかの"改革"によって備わったと言えるだろう。

 話は、長谷川監督がガンバの指揮官に就任した昨年に遡(さかのぼ)る。当時、ガンバのチーム状況は、長谷川監督が初めて指揮を執った清水エスパルス(2005年~2010)の状況と非常によく似ていたという。

「そのときのエスパルスはベテラン選手が多かったんだけど、同時に岡崎(慎司。現マインツ/ドイツ)をはじめ、8人もの新人選手が入ってきた。エスパルスはなかなか世代交代ができなくて、クラブも危機感を抱いていた。それで、若い選手を大量に獲得した。その際、(自分が)やらなければいけなかったのは、若い選手にいろいろと教えながら、ベテラン選手と折り合いをつけていくこと。しかも、失点が多かったんで、そこも修正しなければならなかった。そんな当時のエスパルスと、(自分が監督に就任したときの)ガンバも同じ状況だった。やるべきことは、世代交代を推し進めつつ、失点を減らすこと。その作業をしながら、自分の考えを落とし込んでいく、というところからスタートした」

 そうして、長谷川監督がガンバで最初に取り組んだのは、守備だった。

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