【Jリーグ】西野監督は、神戸をどう変えていくのか? (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nikkan sports

 西野監督にとって重要なのは、ゴールを奪うことであって、ポゼッションはそのひとつの手段でしかないからだ。西野監督はこう語る。

「世の中は、バルセロナの影響でポゼッションサッカーしか認められないムードになっている。でもオレは、カウンターサッカーもいいと思っている。選手の個性も考えず、『ポゼッションありき』というのは、オレの中では違う」

 監督就任会見でも「これまでの神戸の戦い方をリスペクトしていく」と、明らかにしている。

 ここから推察すると、当面はカウンター主体の神戸のスタイルに磨きをかけていくことになりそうだ。チームを短期間で強化するには、それが極めて現実的であり、「チームを強くするのに、マジックはない。スタイルの継続と地道な積み重ねしかない」という、西野監督の哲学にもフイットする。

 一方で、「ただ、守るだけのサッカーは本意ではない。新しいスタイルにチャレンジしていきたい」と会見で語っているように、カウンターサッカーに何か付加価値を加えていくのも確かだ。

 そのために、西野監督はブローロ・フィジカルコーチを招聘している。ブローロはガンバ時代、ポジションごとにハードなフィジカルメニューを構築し、データ管理も徹底して「鬼軍曹」と呼ばれていた。彼の加入で、神戸のフィジカル面は間違いなくアップする。そうすれば、カウンターの鋭さは増し、相手が疲れてきた後半にもゴールを奪えるようになるだろう。それはまた、西野監督が目指す、新しいスタイルのベース作りにもつながるはずだ。

 新スタイルを確立するために、細かな作業も進行していくに違いない。その最たるものが、プロ意識の徹底だ。
「風邪をひいたり、あそこが痛いとか、そういうのを自分から言うヤツは起用しない」(西野監督)

 当たり前のことだが、プロとして厳しい自己管理を求め、練習を含めてルーティン化された毎日を、地道にこなすことを求める。それができない選手、自分の要求に応えられない選手は、レギュラークラスでもシーズン後には、チ-ムから離れることになるかもしれない。

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