【Jリーグ】データで見る「敵にとって危険なストライカー」ベスト3 (3ページ目)
受け手の要注意人物は佐藤寿人
その他、ストライカーに関して注目したデータは、以下のふたつ。表4の「スルーパス受け数ランキング」と、表5の「敵陣空中戦勝ち数ランキング」だ。
「スルーパス受け数」は、サイドのスペースでボールを受けることもあり、その数の多さだけではFWとしての危険度を測れるものではないかもしれないが、前線でパスを受けることで少なからず決定機を演出しているのは確か。
ダントツの1位は、G大阪のイ・グノ。日本人では、興梠、佐藤が上位にランクインした。
「もちろん高い個人能力を持った選手もいるが、このランキングを見てわかるのは、周囲に生かされている選手が多いこと。彼らはそれを自らもよく認識していて、特に上位の選手たちは、敵にとって危険なゾーンでボールを受けられる。結果としてゴールにつながらなくても、そこからヒヤッとするシーンを生み出すことができ、対戦相手としては厄介な存在だった。なかでも、佐藤は要注意なFW。味方がボールを持っていれば、どんなに遠い場所にいても、常にボールをもらう準備ができている。だから、DFが少しでも気を抜いたら、完全に対応が遅れていた」(木村氏)
空中戦を制すことがゴールに直結する
一方、「敵陣空中戦勝ち数ランキング」では、身長180cm以上の、高さを武器にしている選手たちが順当にベスト10に名を連ねた。
「思うようにゲームを組み立てられないとか、ボールの支配力で劣るチームにとって、クロスやロングボールを駆使した空中戦は有効な手段。実際、そういうサッカーを狙いとしたチームの面々が多く名を連ねているように思う。とはいえ、単純な攻撃ながら、敵に与えるプレッシャーは大きい。それは、パスサッカーを主体とするチームであっても、負けている状況では土壇場でパワープレイを多用することからもわかるだろう。すなわち、そこで勝負強さを発揮できる選手は、味方にいれば心強いが、敵にしたら手強い」(木村氏)
事実、ここでランク入りした6選手が得点ランキングでもベスト10入り。空中戦における強さは、敵にとって脅威であることの証拠だろう。
また、このふたつのデータを見て興味深かったのは、空中戦の勝ち数で田代、スルーパスを受けた数で興梠、大迫と、鹿島の選手がそれぞれにランクインしている点。攻撃パターンのバリエーションの豊富さがうかがえる。ただし、今季から田代は神戸に移籍。ジュニーニョの加入でプラスされる面もあるだろうが、少なくとも空中戦という攻撃パターンの破壊力は半減するかもしれない。
逆に、田代が加入した神戸は、新たな得点パターンを構築できるはず。田代とともにキッカーの野沢拓也の獲得にも成功し、かなりの攻撃力アップが見込める。
全体を通して見ると、得点ランク1位のケネディは、3つのプレイデータにランクイン。それも、すべてベスト5以内の数値を残し、名実ともにJ屈指の危険なストライカーと言えそうだ。
他では、得点ランク9位に止まったものの、プレイデータすべてに名を連ねたブルーノ・ロペス、そして得点ランク17位(10点)ながら、3つのプレイデータで5位以内にランクされたラファエルが、敵にとっては嫌な存在と言える。それぞれ昨季のチーム成績は、14位(新潟)、13位(大宮)と振るわなかったが、今季チームがうまく機能するようになれば、得点王争いに加わってくるだろう。
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