【Jリーグ】ペトロヴィッチ体制で、浦和レッズは変わるのか? (2ページ目)

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

ペトロヴィッチ・スタイルの基本布陣(左)は3-6-1。それをベースに、攻撃(右上)では4-3-3、守備(右下)では5-4-1のような形になるなど、システムや選手のポジションが目まぐるしく変化する。ペトロヴィッチ・スタイルの基本布陣(左)は3-6-1。それをベースに、攻撃(右上)では4-3-3、守備(右下)では5-4-1のような形になるなど、システムや選手のポジションが目まぐるしく変化する。 システムのベースは、3-6-1。攻撃時にはそこから、ボランチのひとり()が最終ラインの中央に入って、4-3-3もしくは4-1-4-1という形に移行。GKを含めて最終ラインから丁寧にボールをつないで、相手ゴール前までビルドアップしていく。その際、両サイドアタッカー(⑤⑧)がワイドに開いてピッチを広く使用し、前線の3人(⑨⑩⑪)と連動しながらチャンスを演出する。さらに、基本布陣で最終ラインのサイドに位置する選手たち(②④)も機を見て攻め上がり、その厚みのある攻撃は見応え十分だ。

 一方、ディフェンス時には、両サイドのアタッカー(⑤⑧)が最終ラインまで戻って5-4-1といった布陣で対処する。高い位置から無闇にボールを奪いに行くことなく、自陣ゴール前まで引いてきて、相手選手が入り込むスペースを埋める。常に数的有利な状況を作って、人と縦パスにはタイトに対応し、効果的にボールを奪うことができれば、そこから素早いカウンターを狙う。

 このように攻守でシステムが変わり、頻繁にポジションチェンジが行なわれるため、選手には複数のポジションや役割をこなせる、いわゆるポリバレントな能力が求められる。なかでも、2ボランチ(⑥⑦)と最終ラインの3人(②③④)に要求される仕事は多岐におよぶ。ボランチは、最終ラインのアンカー的な役割とセンターバックの仕事もこなせなければいけないし、攻撃の起点として優れたボールコントロールが要求される。最終ラインの両サイドは、センターバックに止まらず、攻撃時にはサイドバックとして働けなければいけない。

 このサッカーを浦和で実践するにあたり、当初、不安を感じていた。好みのサッカーとは言っても、短時間で実践できるサッカーではないうえ、浦和にはペトロヴィッチ監督が求める選手、特に核となるポジションの人材が不足していたからだ。しかし、幸いなことに槙野智章と阿部勇樹の獲得に成功。彼らが加入したことで、システムの核となる人材を確保でき、チーム作りの時間はだいぶ短縮されると思う。ふたりの加入はそれほど大きなことで、彼らのおかげでチームの輪郭を容易に想像できるようになり、戦えるメドが立った。

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