U-23日本代表、パリ五輪に王手もカタールに苦戦 戦い方が不安定な原因は? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【相手が10人でなければ負けていたかもしれない】

 だがここで再び、試合のストーリーを難しくさせる「事故」が起きる。前半41分、日本のロングボールをキャッチにいったカタールGKユーセフ・アブドゥラーが、ジャンプした際、競りかけた細谷真大のお腹にスパイクの裏を入れてしまったのだ。VARの結果、レッドカードの判定が下され、カタールは10人での戦いを強いられることになった。

 運に恵まれた日本だったが、数的優位になっても日本はきちんと攻めることができなかった。あちこちで小さなミスを繰り返し、流れに乗れなかった。

 そして迎えた後半4分、三度目の「事故」が起きる。10人のカタールにFKからいとも簡単にヘディングで逆転弾を許してしまう。なかなかない筋書きである。クロスボール2本で2失点。カタールに数少ないチャンスをものにされて苦しむ日本。このまま試合に敗れ、五輪出場を逃せば、開いた口が塞がらないような展開だ。

 日本は後半22分、CKから木村誠二のヘディングで同点に追いつき、その時点で敗退の可能性はグッと減ったが、結局延長戦にもつれこみ、勝ち越すまでは褒められない展開が続いた。

 日本の勝因はずばり、相手GKの不用意な反則。相手が10人でなければ負けていたかもしれない試合だった。

 なぜこんな不安定な試合になったのか。同点弾を浴びた後に、急にペースを乱したと先述したが、やはり効率的に攻められなかったことだろう。

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