《独占》宮本恒靖JFA新会長インタビュー 強い日本代表を作り続けるには「長谷部誠のような人材」が突破口になる (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【2031年の女子ワールドカップ招致を目指す】

「ワールドカップのベスト8に入るとしたら、ラウンド16で優勝の可能性を持つ国と戦うことが多い。過去4度のラウンド16では、アルゼンチンやフランスのような優勝経験国と対戦していませんが、2018年のベルギーも、2022年のクロアチアも、それに近い実力を持っています。

 そこを越えるのは、やはり簡単ではないと考えます。グループステージの3試合を戦って、心身ともに消耗もあるなかで、ラウンド16に挑む。そこでなお、余力を持って戦える状態を作っていくことが、ひとつのポイントになると思います」

 宮本会長が言う「余力」とは、「同レベルのチームをふたつ作れるぐらいの戦力」という表現に置き換えることができるだろう。選手層の厚みについては、カタールワールドカップ後に森保一監督や現主将の遠藤航も言及している。

JFA新会長に就任した宮本恒靖氏の考える政策とは? photo by Sano MikiJFA新会長に就任した宮本恒靖氏の考える政策とは? photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る「選手層の厚みが大事ということは、森保監督も認識しているのでしょう。だからこそ、たくさんの選手を呼んでいろいろな組合せにトライしている。たくさんの選手が海外へ出て行っているのは頼もしい状況ですが、そういう選手がさらに増えて、しかもレベルの高いリーグで戦っていくことも、選手層の厚みにつながっていくのでしょう」

 なでしこジャパンこと女子日本代表のターゲットは、「2011年以来の世界一」である。宮本会長は「ワールドカップだけでなく、五輪もチャンスがある」と、言葉に力を込める。

「昨年の女子ワールドカップは惜しくもベスト8に終わりましたが、なでしこジャパンの戦いぶりは世界中から高く評価されました。私は現地を訪れましたが、『日本のサッカーは世界の女子サッカー全体が目指していく姿だ』と言われました。

 決勝戦には7万5千人を超える観衆が詰めかけ、男子のワールドカップに似た演出で試合前の期待感を高め、試合のレベルも高かった。技術もスピードも向上していて、女子サッカーのポテンシャルをあらためて感じました」

 会長就任にあたって掲げた政策の具体的なプログラムとして、宮本会長は2031年の女子ワールドカップ招致を目指すとしている。

「私が見た決勝戦で、試合前に優勝トロフィーをピッチへ運んだのは(2011年優勝メンバーの主力)宮間あやさんでした。世界の女子サッカー界における彼女の立ち位置を考えると、すごいことだなと感じました。2011年のワールドカップ優勝のすばらしさを再認識したなかで、なでしこジャパンで活躍してくれたみなさんの力も借りながら、2031年のワールドカップ招致に着手していきたい、と考えています」

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