谷口彰悟「アジアカップを振り返らずに、前には進めない」ベトナム戦のピッチ上で覚えた違和感の正体 (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【慢心と言われたらそれまでだが...】

 選手たちも、初戦が大事であり、かつ初戦が難しいことは百も承知している。過去の歴史や経験もそれを物語っているように、わかりきっていることではあったが、それでも結果、内容含めて苦しい時間帯があり、苦しい展開になった。

 あらためて、アジアカップも含めて、簡単に勝てる大会、簡単に勝てる試合などひとつもないことを思い知らされた。

 ベトナム戦を振り返ると、先制したあと、16分には同点に追いつかれ、33分には逆転を許してしまった。

 CKからゴールを許した16分の失点は、デザインされた相手のプレーもスーパーだったが、個人的にはセットプレーからの失点は、自分たちが隙を見せた結果だと解釈している。

 まず前提として、どういう形でセットプレーに至ったかは、反省すべきポイントのひとつ。それを考えると、ベトナム戦ではセットプレーになる前に、球際でボールをこぼしているシーンが目立っていた。

 ベトナムは前回のワールドカップでも最終予選に進出しているように、近年、サッカーの向上に力を注いでいる国のひとつだ。決しておごっているわけではないが、それでも日本から見れば格下と言える相手でもある。

 そのベトナムに対して、球際で相手にボールが転がってしまう状況に、僕は少し違和感を覚えていた。

 チームとしても、ボールを奪えたと思ったところで相手に入れ替わられてしまったり、ボールが転がってしまったりする状況が続いた。ベトナムもボールをつないできたため、想定していたエリアでボールが奪えない、または相手にボールがわたる回数が多かった。

 そうしたところに、僕ら日本の隙はあったと思う。

 33分に許した2失点目も同じくセットプレーからで、クロスを折り返され、ゴール前で相手に詰められた。あの場面は全員が下がりきれていなかったり、ボールを見てしまっていたりと、やはり細かい部分が隙になっていたと思っている。慢心と言われたらそれまでだが、やるべきことをやっていなかった甘さが招いた2失点だった。

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