サッカー日本代表 6月の消化試合で必要なのは「新陳代謝」「再構築」 識者が提言 (2ページ目)

 変革のための新陳代謝は、世界中で盛んに起こっている。カタールW杯後、ブラジル、スペイン、ベルギー、ポルトガル、イタリア、オランダ、ドイツなどの列強は揃って指揮官交代。ブラジルは17歳エンドリッキ、スペインは16歳ラミン・ヤマルなど、各国で新鋭が台頭している。

 現状維持は衰退を意味する。

 カタールW杯で、日本を破ってベスト8に進んだクロアチアは、同じズラトコ・ダリッチ監督が務めている。しかしダリッチは、2018年W杯準優勝、2022年W杯3位、昨年のネーションズリーグも準優勝(ちなみに優勝はスペイン)と華々しい成果を挙げている。自ら世代交代を促せる、際だった手腕を持っているのだ。

 一方、ベスト16の壁を越えられなかった日本は森保一監督が続投したが、アジアカップはベスト8止まり。革新は欠かせないはずだが、相変わらず「受け身のサッカー」を捨てられないでいる。ボールプレーでやり合える戦力を擁しながら、イージーに蹴ってしまう。相手にボールを預け、パワープレーで劣勢に陥る。端的に言えば、それが今回のアジアカップの敗因だった。アジアレベルであっても、フィジカルコンタクトに勝敗を委ねると日本人はその強みを出せない。

「世界を相手にした場合、耐えて守ってのカウンターは威力を発揮する」

 そういう意見は根強く、正論でもある。しかし、同じ手は2度と通用しない。カタールW杯で、ドイツ、スペインに攻められ続けながら、失点を最少に抑えられたのは、僥倖にすぎなかった。相手が日本を軽視した油断で、勝利を拾ったのだ。

 具体的に、森保ジャパンは来るべき6月のミャンマー、シリア戦にどう挑むべきか?

 ひとつ言えるのは、ベストメンバーは必要ない、ということだ。

 欧州のシーズンは終わり、体力的負担は少ないだろう。ただ、少なくとも冨安健洋(アーセナル)、三笘薫(ブライトン)のようにケガが多くなっている選手は呼ぶべきではない。主力の半分は入れ替え、戦力の底上げに用いるべきだ。

 たとえばJリーグで台頭著しい荒木遼太郎(FC東京)はトップ下で創造性を発揮でき、鎌田大地(ラツィオ)、伊藤涼太郎(シント・トロイデン)のバックアッパーとして試すべきだろう。また、MLSで活躍するGK高丘陽平(バンクーバー・ホワイトキャップス)は海外の猛者を相手に堂々としたプレーで、経験も積み重ねている。他にも大迫勇也、宮代大聖(以上ヴィッセル神戸)、鈴木優磨(鹿島アントラーズ)は、現在の代表にはいないポストプレーヤーであり、本来はリストに入れるべきだろう。

 日本サッカーの武器は、「(俊敏性+技術)×コンビネーション」と言える。縦パスを差し込み、フリックで展開し、ゴールに迫る。パスを食われるリスクも懸けた能動的サッカーを押し通すことにより、失敗からの成功も見込める。「石橋を叩いても渡らない」慎重すぎる戦い方では、大きなうねりを起こすことはできず、停滞を余儀なくされる。

 6月の2試合こそ、発掘や挑戦に充てるべきだ。

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