サッカー日本代表は6月のW杯予選消化試合をどう有効活用すべきか 識者4人のアイデアとは (2ページ目)

 五輪チームは欧州組の割合が半分にも届いていない。パリ五輪本番で目立つ活躍をし、ひとりでも多くの選手が欧州サッカー関係者の目に留まる必要がある。それが代表チームの強化に直結する。

 選手強化のあるべき姿としては「アテネ経由ドイツ行き」「北京経由南アフリカ行き」「ロンドン経由ブラジル行き」「リオ経由ロシア行き」「東京経由カタール行き」と、五輪を経由してW杯本大会を目指せ、なる言い回しが用いられてきた。今回でいえば「パリ経由北中米W杯行き」となるが、五輪チームの国内組は、北中米W杯に出場する前に、さらに欧州クラブを経由する必要があるだろう。

 五輪はかつて若手選手の品評会とされた。1996年のアトランタ五輪あたりがそのピークになるが、その事実が日本の五輪代表候補選手たちの励みとなり、28年ぶりの本大会出場となって実を結んだ。代表チームにも当然、好影響をもたらした。1998年のW杯初出場。さらに2002年日韓共催大会のベスト16と、その後の日本代表の繁栄につながっていった。

 ただ若手選手の品評会という別名は、U-20W杯、U-17W杯に順次、移行していった。U-23は、若手選手と言うにはもはや"とうが立った"世代になる。しかし実際には、欧州サッカー界は10代の選手ばかり欲しているわけではない。大学を卒業し、川崎フロンターレで1シーズン半プレーした後に欧州に渡った三笘薫がいい例だ。10代は欧州へ移籍する理想的な年齢だろうが、23歳でも遅くはない。受け入れ先は広がっている。

 今回の五輪開催地はパリだ。欧州のド真ん中である。各クラブのスカウトが直に観戦に来る環境がいつになく整った五輪である。舞台としては東京五輪より格段に魅力的だ。品評会的な色彩は最近の五輪のなかでは最も高い。押さえておきたいポイントだ。

 ミャンマー戦、シリア戦に話を戻すと、欧州組を呼ぶのであれば、招集歴の少ない選手にしたい。本番まで2年強。A代表でお馴染みのメンバーがそこまで最盛期を保てる保証はどこにもない。むしろその可能性は低いことは、過去の例を見れば明らかだ。

 日本代表はアジアカップ、先の北朝鮮戦と、結果、内容ともに低迷している。思いきった入れ替えをするタイミングに来ている。いずれにしても新たな可能性を探る場に充ててほしいものである。

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