サッカー日本代表 北朝鮮戦のデータは不調を脱していない証 突きつけられた根本的な問題 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【後半、前に出てきた北朝鮮に慌てる】

 ただ、追加点はならずとも、前半の日本は危なげない試合展開はできていた。にもかかわらず、後半に入ると状況は一変。日本は、北朝鮮に対して劣勢を強いられる展開となった。

 最大の要因は、北朝鮮の両サイドハーフが日本のSBとの距離を縮め、チーム全体が前からプレッシャーをかけるようになったことだ。特に日本の4バックには2トップと両サイドハーフがマッチアップ、日本のダブルボランチにもセンターハーフ2枚(22番、後半開始から15番と代わった17番)が圧力をかけることで、日本のビルドアップを封じにかかった。

 それに面食らった日本はボールの出口を失い、前半は余裕を持って確保できていた前進ルートを一気に喪失。苦し紛れのクリアやGK鈴木彩艶へのバックパスが急増すると、GK鈴木もパスの出しどころを見つけられず、ロングボールを蹴るしかなかった。

 DFラインが下がってしまった日本は、ハーフライン付近に南野、最前線に上田がポツンと立つだけの状況となり、当然ながら、日本が蹴ったボールのほとんどを北朝鮮に回収された。しかも北朝鮮は丁寧につないで前進するのではなく、躊躇なくボールを蹴って敵陣に進むスタイルを貫いたため、試合はどちらかが落ち着いてボールを保持する展開ではなく、いわゆるアンストラクチャーの状態でボールを奪い合う展開が続いた。

 こうなると、ボールテクニックや個人戦術で上回る日本の強みは失われ、お互いイーブンの競り合いの勝負となる。北朝鮮とすれば、それに日本が付き合ってくれたことが奏功し、両サイドからのクロスが増えると、前半は1本もなかったシュートも5本に増加。47分の幻のゴール(ファールがありノーゴール)がチームに勢いを与え、日本陣内でプレーする時間を増やした格好だ。

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