U-23日本代表、世界との遭遇 突きつけられた戦力差を埋めることはできるか (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

【「戦える」マリの選手たち】

「後半はボールを持てるようになりましたが、相手は持たせてカウンターを狙ってきた。ガチャガチャしたところをいけてしまう力強さを感じて、そこはふたり目、3人目で守備をするべきでした。前から来ていたので、背後をうまく使えていたら......。自分自身、効果的なプレーをできた感触はないので、試合を見返して立ち位置など改善したいです」

 選手個々の力の差も目立った。たとえば後半8分に逆転されたシーンは、エリア外からのミドルシュートをGK野澤大志ブランドンが"お手玉"でこぼすと、それを頭で突かれて失点。世界照準だったら、苛烈な批判に晒されるプレーだろう。

「最終予選に勢いがつく試合を、と意識していましたが、GKとしては、してはいけないミスをしてしまいました」

 そう語る野澤自身、沈痛な表情だった。今シーズン、彼は所属するFC東京で試合に出ていない。

「試合勘は、どうなんですかね......? いい状態ではあったと思うんですが、ああいうミスをしているので......。(今後に向けては)修正はできると思います」

 マリの選手たちは、すでにフランス、ドイツ、イングランド、ポルトガル、スペインなどヨーロッパ各国でプレーしている。その多くは1部リーグのセカンドチームで、主戦場は下部リーグ。ただ、実戦で研鑽を積んでいるだけに、適応力など"戦える"選手が多い。

 たとえばGKラシン・ディアラは名門リヨンのBチームの正GK、DFイブライマ・シセはドイツ、シャルケのBチームでプレーし、元U-20フランス代表FWサマケ・ウィルソンはレンヌBで今シーズンは19試合16得点を記録。貴重な逆転弾を決めたママドゥ・サンギャレは、オーストリアのザルツブルクからレンタルされ同1部TSVハルトベルクのレギュラーだ。

「前半から瞬発力などフィジカルの差を見せつけられました。自分がピッチに入った時は、相手もエネルギー切れで、少しチャンスにつながりそうなプレーも見せられましたが......」

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